2020-02-27特集
膠彩画(こうさいが)と膠彩(ジャオサイ)

チン・ペイイさんのプロフィールにも登場した「膠彩」とは、簡単にいいますと、日本画と同じ技法を用いた制作方法です。

例えば、油を使って顔料を定着させるから「油絵(油彩画)」、
水を溶剤として絵具を使う技法から「水彩画」、
アクリル樹脂を使って固着させるから「アクリル絵具」、というふうに、
岩絵具などの顔料を「膠(にかわ)」で定着させる絵画を「膠彩画(こうさいが)」といいます。

※膠(にかわ)…動物の骨や皮や腱などから抽出したゼラチンを主成分とする物質。

絵画を彩る主役的な顔料の成分や特質ではなく、本来(おおむね)色味のないとも
言える媒介部分成分を名前として用いて、技法や絵具を呼び習わすのは、考えているとちょっと不思議で面白く、でもとても合理的な分類方法ですね。

日本ですと、この「膠彩画(こうさいが)」は「日本画」という大きなくくりで呼ばれることが多いため、ほとんど耳にしないかもしれません。

変わって台湾では「膠彩」は「ジャオサイ」と発音します。

チン・ペイイのアトリエ
チン・ペイイのアトリエ

中国を本流とする中国国画にも岩絵の具を用いた、現在では岩彩とよばれる絵画が
ありますが、特に戦前戦後の台湾で発展しはじめた「膠彩」の技法は、
どちらかといえば日本画に近いものだと思われます。
(中国国画の流れで岩絵の具を用いるときには、岩彩と表するようですので)
その背景には、当時台湾に移り住んで絵画、芸術を教え、台湾芸術の発展に尽力した、
日本人画家の教育、その後のゆたかな国際交流の影響があるようです。

とはいえ、岩絵の具はその発色の素晴らしさ、変色しない天然顔料の神秘的な普遍性が
魅力的なのは万国共通のはず。

今企画展での陳さんの「膠彩」は繊細な猫の毛描きに加えて、
ぽってりと盛り上がるように絵具を置いた、独特の技法で、
カーペットやタペストリーといったファブリックの表現も楽しめる作品です。

チン・ペイイ「入夢」
チン・ペイイ「入夢」
拡大:猫のふわふわの毛も、背景も驚くべき精細さで描かれています。
拡大:猫のふわふわの毛も、背景も驚くべき精細さで描かれています。
チン・ペイイ「親情」
チン・ペイイ「親情」
拡大:1本1本がぷっくりと盛り上がり、カーペットの柄に立体感を出しています。猫の毛のふんわり感との違いを常に意識して描いているそうです。
拡大:1本1本がぷっくりと盛り上がり、カーペットの柄に立体感を出しています。猫の毛のふんわり感との違いを常に意識して描いているそうです。

作品の現物を見なければ、その絵画の魅力を体感しつくせないのは、
どんな技法の絵画にも共通のこと。

ぜひ東洋一の猫描きの「膠彩」をご覧になりにいらしてくださいませ。

チン・ペイイ個展、会期は2020年3月4日(水)までです。チン・ペイイ個展

Chen Pei-Yi
Chen Pei-Yi completed a master degree of Fine Arts, Donghai University and B.S degree at Department of Visual Arts Education, National Pingtung University. Ikenaga Yasunari has been paid attention to her who paints cats with the style of Japanese paintings. Especially her recent works of cats and carpets with amazing minute brushwork becomes very popular in Taiwan.