本号の表紙は、棟方志功の《釈迦十大弟子》より《阿難陀の柵》。サンパウロ・ビエンナーレ展に出品し、版画部門の最高賞を受賞した志功の最高傑作の一つです。モノクロームの画面には棟方の厳かな祈りと壮年期の棟ほとばしる情熱が込められているようです。

また、織田信長の系譜を継ぐ幕末の女流絵師、織田瑟瑟《異種伊勢櫻図》や、日本の風景を繊細に描写する澁澤卿《華雪妙舞》など、この時期にふさわしい美しい桜が描かれた優作もお楽しみください。その他、情緒豊かな大正ロマンを体現する竹久夢二《はじらい》、墨色と白の対比に抽象と文字との造形が絶妙に融和する篠田桃紅《無題》、夏目漱石、芥川龍之介といった文豪が書簡に残した親交の軌跡など、日本画、書、洋画、工芸、浮世絵と厳選の逸品をご案内いたします。

なお、カタログでご案内差し上げている作品はすべて一点限りです。是非ご高覧の上、お早めに御用命賜りますようお待ち申し上げております。公開品につき、お取り置きは致しかねますので、あらかじめご了承下さい。ご不明な点等ございましたら、お気軽にお問い合わせくださいませ。