2005-09-03日本美術そうだったのか通信
Vol.60 水戸烈公・ステキさん2

□■□■  「日本美術そうだったのか通信」 Vol.60
発行 有限会社アートオフィスJC・秋華洞
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アートオフィスJC・秋華洞提供。
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9月11日、なんて何かとんでもない縁起の日に決まりましたね、投票日。

こんばんは。アートオフィスJC・秋華洞 田中千秋です。

私は、今回の選挙、亀井さんをはじめとする反対派の、やや政治的甘えも見
られる「抵抗」に対して、断固たる解散を行って名演説を行った小泉さんが
「流石」「かっこいい」んじゃない?と思っていました。

けれども、小泉さんの、いつもの郵政「一点張り」ぶりが続くと、いや本当
に何処に投票していいやら、と迷ってしまうのが正直なところです。

書画の世界の「真贋」もなかなかメンドウで複雑な部分がありますけれども、
政治家の「真贋」を見分けるのはずっと大変でありますね。

まあ、ある意味で、全部「贋物」に見えなくもないですが、政治の場合、疑っ
てかかって丁度良い塩梅ということもありますので。まあ、よくよく考えて
「鑑定」をいたしましょう。そんな政治談義でもしに、店頭にもいらして下
さい。

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■徳川斉昭『中原莫道無麟鳳・・』 (とくがわなりあき・ちゅうげんばく
どうむりんぷう・・)
http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/50ozcf00f8ax9l2a2p

通称 水戸烈公。

幕末の水戸藩で、自らの意志を貫いて生きた男、徳川斉昭の筆跡です。

斉昭は水戸藩第九代の藩主でした。

幕末の水戸藩で、彼は倹約や教育の充実、海防の強化など、次々に改革を打
ち出しますが、政敵も多く、一度は失脚します。

しかし、黒船来航後の国政に「海防参与」として抜擢され、軍政改革を主張
しますが、再び政治抗争に敗れ、井伊直弼との対立の末、安政の大獄で蟄居
の処分を受けるなか、病死してしまいます。

さて、彼の思想は、あの水戸黄門さまがはじめたという「水戸学」の系譜と
いっていいと思います。すなわち、尊皇と文武両道。

突然ですが、読者の皆様が眠くならないように、話が飛びます。

数年前、張芸謀(チャン・イーモウ)という監督による「HERO(英雄)」
というアクション映画がありました。

http://www.hero-movie.jp/phase2/

主人公たちは、「書」の研鑽を深めると同時に、「筆」を扱うように「剣」
をふるう、という「精神」をかなり荒唐無稽に「アクション」として表現し
ていて、まあ、度肝を抜きました。

「徳」=「書」=「武」

という、考え方、生き方をエンターテイメント仕立てで紹介した映画であり
ました。

このメルマガの天田愚庵の連載にも登場する「鉄舟」もこうした思想を読む
ことのできる人物だと思いますが、今回紹介する、水戸烈公の書も、いかに
も水戸学の人らしい、気合いのこもったビンビンの「隷書」であります。

さて、本作の内容は。

中原莫道無麟鳳  中原、道うこと莫れ、麟鳳無しと
自是皇家結網疎  自ら是れ皇家、網を結ぶこと疎なり

ちゅうげん、とうことなかれ、りんぷうなしと
おのずからこれこうけ、あみをむすぶことそなり

唐の時代(日本の平安時代)の詩人・陳陶の「間居雑興詩」の一説からとっ
た七言二句です。

内容については、済みません、私の教養ではわかりませんでしたが、おおよ
そ次のような意味でしょうか。ご存じの方がいらっしゃいましたらご教授下
さい。

天下に麒麟や鳳凰がないと決めつけてはいけない。
当然、王族は網を結ぶことは稀なのである

・・私の翻訳では文字通り訳が分かりませんけれども、天下国家の事を考え
た詩なのではないかと思います。本物はどこかにきっといる、という意味な
のでしょうか。

この書体の「横画」のグイと太くとおってキッと右上に撥ねる迫力。ごまか
しのない隷書。明治維新の最初のエネルギーを放った水戸・行動思想の源流、
徳川斉昭の書。如何でしょうか。

徳川斉昭『中原莫道無麟鳳云々』
絹本・墨・軸装
本体 123cmx42cm 総丈 222cm x57cm

黒木欽堂極め書添付・野村素軒箱書き

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さて、博多の肝っ玉社員、イヤマのコーナー。
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イヤマの☆★☆今週のステキさん★☆★
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なにやらとつぜん甘いものが食べたくなることって、ありませんか?
今日のわたしがそうでした。ランチの帰り、一口大のおまんじゅうを
社の人数分、きっちり5個だけ買ってオフィスに戻りました。

弊社ビルの1階には『三万石』という和菓子屋さんが入っています。
今日みたいな日や、ちょっと小腹が空いた夕方などにときどき立ち寄る
のですが、そのお店のお心遣いがなかなかステキ!なのです。

どんなに小さなお買い物だったとしても、お客にはかならず一杯のお茶を
淹れてくださる。暑い日はよく冷えた麦茶、肌寒い日はあったかい緑茶を。
店員さんはいつも穏やかでにこやかです。喋り過ぎず、黙りすぎず、という
スタンスの中にも“お客様が店に足を運んでくれた”ことそのものに感謝の
気持ちを忘れない、意思のようなものを随所に感じます。

「お茶を淹れる」という行為自体はマニュアル通りかもしれません。
ですが、接する態度にマニュアルは通じないと言いますか、作った笑顔に
人を和ませる力はないような気がします。少々極論めいていますが。
ただ、普段の心根、気持ちをまっすぐにしてこそ、人のこころを和ませたり
また会いたくなるような雰囲気を持つことができる。『三万石』さんに
行き、しばしばこういうことを考えるのは、接客業に携わる人間としては、
とても貴重な勉強の機会です。

…というのはちょっと褒めすぎでしょうか?

9月になり、朝夕の風には秋らしさを感じるようになりましたが、それでも
まだまだ残暑が厳しい東京です。さんざん歩いた後、三万石さんで冷たい
お茶をいただきながら、サービスや接客は「まず、こころありきだなぁ…」
と改めて考えていました。

仏教の世界に「顔施」という言葉があります。
店員さんの穏やかな微笑みは、まさに無財のお布施なのかもしれません。

★☆★

そういえば、このメルマガで代表の田中が「お気軽にお越しください」と
お伝えしたところ、とても多くの方にお越しいただき、思わず嬉しい悲鳴を
上げてしまった日も!

ですが、逆にそう明言しないと
なかなか来づらいイメージがあるのかもしれない…
とも思いましたね。

うちは、取り扱い作品こそ日本画の大家のものや高価なお品が中心だったりしますが、
従業員は極めてみんなアットホームです。どうぞまったくお気遣いなさらず、お気軽に
ふらりとお立ち寄りくださいませ。

心を込めたとっておきのお茶と、練習中のスマイルで、ご来訪をお待ちしております!

・今週のステキ度…☆☆☆☆☆

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(特集 天田愚庵は今週はお休みさせていただきました)

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代表取締役 田中自知郎・田中千秋
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近代絵画・現代絵画を軸とし、さらに、鎌倉・室町時代より、現代に至る
まで、あらゆる分野で活躍した画家・高僧・武将・文人・歌人・俳人の手に
よる絵画・書蹟、時代屏風、絵巻、古文書、古写本、古版本、稀覯本(きこ
うぼん)を専門とし、その他、彫刻、工芸品、茶道具など、多岐にわたって
対応致します。

弊社は平成15年に設立、平成16年に開店致しましたが、50年近く美術業界
で活躍した代表・田中自知郎が息子・田中千秋と共に新たに設立致しました。

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