篠田桃紅哀悼企画「墨に生きる」

2021年3月1日、107歳にして惜しまれつつこの世を去った孤高の美術家、篠田桃紅。
100歳を超えてなお旺盛な創作活動を続けた彼女の作品は、年を重ねるごとに進化を重ね、見るものに常に新鮮な驚きを持たらします。
己を貫き通した美術家の軌跡を、今あらためて振り返り、哀悼の誠を捧げます。
生涯芸術に生きた彼女の凛とした姿は、作品に広がる限りなく深い「墨」の中に生き続けることでしょう。

冴え渡る墨色は直に見てこそより深く味わえるものです。
ぜひ、銀座のぎゃらりい秋華洞にて、その深淵な世界をご覧くださいませ。

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墨を用いて独り玄門を得 ―扇面「墨象」―
「墨象」|紙本水墨  ※価格はお問い合わせください
「墨象」|紙本水墨  ※価格はお問い合わせください

唐末五代の画家、荊浩による『筆法記』には、「墨を用いて一人玄門を得」とあります。
墨による黒は、真っ黒の一歩手前の色で、残りの一歩の中に天地自然や神、宇宙など、人間には計り知れない、あらゆるものを内包しているといい、桃紅はその考えが好ましいと著述しています。
本作においても、簡潔な構成ながら、墨の潜在的な力によって、静かで豊かな桃紅独自の世界観が表れています。

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墨痕に風をはらむ ―「松風」―
「松風」|紙本水墨  ※価格はお問い合わせください
「松風」|紙本水墨  ※価格はお問い合わせください

画面を横方向に漂う淡墨の四角形や、掠れた濃墨の枠、画平面の中央を截る濃墨線が、書に基づくやわらかな筆法でもって描かれます。
墨がもつ色彩や質感の多様性が簡潔な構成のうちに表された本作は、墨の表現を純粋な形としての抽象へと展開した桃紅芸術の髄を示す一品です。

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豊かな墨色に思いを馳せる
「無題」|紙本着色  ※価格はお問い合わせください
「無題」|紙本着色  ※価格はお問い合わせください

墨の四角形が集っています。刷毛のような平筆でゆったりと、しかし少ない筆致で引かれた、あるいは塗られたように見えます。
しかし、水分をたっぷり含んだ墨の面はそのうちで多くの表情を見せます。
それらは木の表面のようで、あるいは浜辺の砂のようで、また山の岩壁のようでもあり、あらゆる自然の景物と現象がこのひと塗りの中に現れるようです。
鋭く光る線は雷雨でしょうか。
簡潔に見える形の中で墨を中心とした色と水との混沌に自然を見立ててみれば、桃紅作品の表す世界の万象が見えてくるようです。

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噴き上がる朱の脈動 ―「幽微」―
「無題」|紙本着色  ※価格はお問い合わせください
「無題」|紙本着色  ※価格はお問い合わせください

昭和63年に制作した作品です。
桃紅が生涯で墨とともに用いた色は非常に限られていますが、なかでも朱は、桃紅にとって墨自身が己の寂しさに耐えなくて求めた一点の火の暖かさをあらわす色であり、目を閉じてまぶたの裏にみえる血の色でもあります。
本作は闇の中から幽微に出でる静けさに加え、朱の色によって桃紅の作品の中でも殊に激しく燃え脈動するような、生けるものの鋭さが傑出した稀有な作品です。

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墨色世界への旅路へ ―「旅」―
「旅」|紙に墨、彩色  ※価格はお問い合わせください
「旅」|紙に墨、彩色  ※価格はお問い合わせください

桃紅は、墨の抽象性を深めるのに役立つ具体的なものに「色」を挙げていますが、本作では炎に焼かれたように玉虫色に発光する「旅」の一字が濃淡の墨色に溶け合い、画中に幽玄の奥行きをもたらしています 。
「墨の中にあらゆる色を見る」という桃紅。色と呼応した墨色世界は無尽に広がりゆき、その探求の「旅」へと観者を誘います。

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瑞々しい生命の躍動を見る
「無題」|紙に墨、彩色  ※価格はお問い合わせください
「無題」|紙に墨、彩色  ※価格はお問い合わせください

画面中央に下に向かって幾本もの墨線が引かれる構図は2000年代初頭に多くの作品で見られ、当時の桃紅の中で動に潜む静を表象するものだったと考えられます。
その構図を用いた本作品は水流のような淡墨、琳派の八橋のように簡略化された表現の濃墨、そのなかで際立つ緑の静謐とした一筋の描線により、あたかも初夏の川辺に立つ葦を見るかのような清冽さを感じさせます。

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いろはのうたに生を重ねて ―「いろはにほへと」―
「いろはにほへと」|紙本墨書  SOLD OUT
「いろはにほへと」|紙本墨書  SOLD OUT

いろは歌の、一音も重ねない成り立ちは、停止も反復も許さない生の姿に似て、書きつつ同じ文字に出遭わないということが、きびしく、また狎れのない清々しいものに思う。―篠田桃紅『朱泥抄』より

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会津八一への追慕を刻む ―会津八一の歌より「いかるがの」―
会津八一の歌より「いかるがの」|紙本墨書  ※価格はお問い合わせください
会津八一の歌より「いかるがの」|紙本墨書  ※価格はお問い合わせください

和歌の作者である会津八一はすぐに絶交状を寄越すことで有名で、生前親交があった桃紅もまた、それを送られた一人でした。
周章狼狽し、詫びの手紙を書いては破りを繰り返していましたが、謝りに行く時間もなく渡米。
そして異国の地において八一の訃報を聞いた。
そのことがずっと心残りだと桃紅は述べています。
本作は八一の没後に制作されたものでしょうか、徐々に広がる行間の余白には、桃紅が八一へ思いを募らせていく、その時間が流れているようにも感じられます。

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リトグラフ ~新たな墨の探求~

フィラデルフィア美術館から来日した刷師アーサー・フローリーの勧めで、1960年頃よりリトグラフ制作を始めた桃紅。
石版やジンク版に直接筆を用いて描く手法で、新たな墨の可能性を探求した桃紅のリトグラフは、筆の表現を写し取るだけでなく、版ならではの重ね刷りの結果、時に版上の水分の偶然が生む趣きも添加され、さらなる墨の深みと色彩の奥行を獲得しています。

「Encounter」| リトグラフに手彩色|ed.30  SOLD OUT
「Encounter」| リトグラフに手彩色|ed.30  SOLD OUT
「Listen」| リトグラフに手彩色|ed.35    価格 ¥350,000(税込)
「Listen」| リトグラフに手彩色|ed.35    価格 ¥350,000(税込)
「ANCIENT SONG」| リトグラフに手彩色|ed.35 
「ANCIENT SONG」| リトグラフに手彩色|ed.35 
「RELEASE G」| リトグラフに手彩色|ed.35   SOLD OUT
「RELEASE G」| リトグラフに手彩色|ed.35   SOLD OUT
「Ancient poem」| リトグラフに手彩色|ed.30    価格 ¥400,000(税込)
「Ancient poem」| リトグラフに手彩色|ed.30    価格 ¥400,000(税込)
「An Ode」| リトグラフに手彩色|ed.35   SOLD OUT
「An Ode」| リトグラフに手彩色|ed.35   SOLD OUT
「ETUDE」| リトグラフに手彩色|ed.AP   SOLD OUT
「ETUDE」| リトグラフに手彩色|ed.AP   SOLD OUT
「AN_ANTHOLOGY(詞華)」| リトグラフに手彩色|ed.35    価格 ¥450,000(税込)
「AN_ANTHOLOGY(詞華)」| リトグラフに手彩色|ed.35    価格 ¥450,000(税込)