2006-04-22日本美術そうだったのか通信
Vol.82 社名変更・日本橋・泥舟

□■□■  「日本美術そうだったのか通信」 Vol.82
発行 有限会社アートオフィスJC・秋華洞
http://aojc.co.jp/
アートオフィスJC
http://www.syukado.jp/
おんらいんぎゃらりい秋華洞

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術業界裏話など、日本美術をより楽しむための情報をお届けします。
アートオフィスJC・秋華洞提供。
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もくじ
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・社名変更のお知らせ
・日本橋・京橋 美術骨董まつりレポート
・今日の一幅
・次回カタログの予告
・秋華洞画廊オープンの予告
・おまけ情報「プライス若冲ブログ」
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お久しぶりです、アートオフィスJC・秋華洞 の田中千秋です。

先日来、阿部にも執筆を担当してもらってます。

ちょっとおさらいを致しますと、

阿部担当で
水曜日 新着作品情報
金曜日 おすすめ展覧会情報

田中担当でコラムを二週間に一回位のペースで随時お届け、という
ことでやらせていただきます。

一回のメルマガの情報量をコンパクトにして、読みやすく、というのが今回
の「ねらい」ですが、みなさま、如何でしょうか。リクエストなどお気軽に
お寄せ下さい!

■社名変更の予告

弊社は「有限会社アートオフィスJC」として活動してきましたが、近く、
「株式会社秋華洞」に社名を改めたいと考えております。6月に変更の予定
ですが、決定致しましたら改めてお知らせ致します。

この3年間の活動で、突飛な名前?にもかかわらず、だいぶ「JCさん」で
覚えてもらっていますが、「秋華洞」という社名のほうが、「日本美術商」
としてわかりやすい事を考え、また、カタログとウェブサイトを通してこの
名称が浸透してきたこともあり、この名前にすることに致しました。

今後とも変らぬご愛顧の程、よろしくお願い致します。

■「日本橋・京橋 美術骨董まつり 2006年4月14-16(日)」レポート

まず、説明致します。

この日本橋・京橋エリアは、東京では銀座についで、美術店の集積地。最寄
りのJR駅は東京駅になります。有名な日本橋三越、高島屋のご近所です。

この地域の特長は、壺中居、繭山龍泉堂、など、中国古陶磁の超一流店が存

することでしょう。その他、茶道具商、新画商、古画商、貸画廊などが、昭
和通りと中央通り(銀座通り)に挟まれた「こっとうどおり」とその裏路地
に、掘り出した植物の根っこの支脈にびっしりついた土粒のごとく、そこか
しこに軒を並べています。
http://www.chuo-kanko.or.jp/spot/art/kyobashi/index.html

で、この地域で、年に春と秋の二回、「美術骨董まつり」が開かれています。
どちらかといえば、骨董といっても、「超高級」なイメージの強いこの界隈、
オソレオオクて素人がオイソレと入れない雰囲気ですが、たぶん、お店の側
の多くの本意ではないと思います。

そこで、「どうぞいらっしゃーい」というムードを地域ぐるみで高める「運
動」がこの「まつり」なのだと理解しています。

うかがったのは、壷中居・水戸忠・春風堂・飯田好日堂・葵堂清水・松森美
術・戸村美術・池内美術・加島美術さんなど。

その様子(全部のお店は書いていません、ゴメンナサイ)は、下記の私のブ
ログ「丁稚ログ」に書かせて頂きました。

http://blog.livedoor.jp/syukado/archives/50460739.html

やっぱりねえ、お店は勇気を出して入ってみないと分かりません。いくつか
のお店はこの機会に初めて入れてもらったのですが、「イメージ通り」とり
すました?お店も有れば、もうとってもアットホームなところもあり、商品
も思わぬ処に名品があったりなかったり、思ったより安かったり高かったり、
案ずるより産むが易し、このメルマガを読んでいる貴方、まずは美術店、入っ
てみて、安いものでもなんでも買ってみましょう!あなたにとって気持ちの
いい店、きっとみつかります。

だけど銀座もよろしくお願いします。とくに外堀通り!のこのヘン↓↓
http://www.syukado.jp/jp/support/guide/guide.html

さて、上のブログで書かなかったのは中国古陶磁を扱う「浦上蒼穹堂」の浦
上さんのこと。
実は、この骨董まつりに、浦上さんは参加されていません。

たまたま、NYのアジアンアートフェアに出展される事情によるとのことで
したが、私が訪ねた日にはお店にいらして、いろいろお話を伺いました。

思った通り、とっても明るく快活で、素敵な方でした。

「思った通り」というのは、各種アートフェアで、常に一番美しく洗練された
展示をされている方だったからです。

そして、私のような若輩者にでもお話しをしていただいて感動したのですが、
ともかくも美術商はもっと「他力本願と甘えを捨てて積極的にアピールをす
るべきだ」という趣旨のお話しが印象に残りました。

たとえば、あるアートフェアで、もっと夜遅くまで開いて仕事帰りの人も迎
えるべきだ、という提案をしたところ、<そんなこと言ったって大変だよ、
売れないに決まってるし>的な反応だったということ。そこを浦上さんが頑
張って時間延長を決めたそうです。

常に既存のお客様だけではなくて、働き盛りの方など新しい層のお客様にも
来て頂ける切り口や工夫、努力をしていくべき、という思いを新たに致しま
した。これは美術館でも画廊でも同じですよね。

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■■■今日の一幅
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■高橋泥舟「七言二行『風来万野香云々』」(たかはしでいしゅう・しちご
んにぎょう・ふうらいばんやこううんぬん)
http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/fude/A06-1084.html

ウチの阿部からすでに紹介がありましたが、これは是非お勧めしたい一幅で
す。

幕末三舟の一人、泥舟。残り二人のうち一人は、知らぬ人のない、江戸幕府
知謀家臣・勝海舟。いま一人は、以前紹介した天田愚庵特集で登場した、山
岡鉄舟。
※「そうだったのか通信」天田愚庵その1〜その6
http://www.syukado.jp/sodatta/archives/cat17/cat19/

高橋泥舟は、槍一本で身を立て、最後の将軍、徳川慶喜の側近として、極め
て信頼の高い家臣でしたが、維新後は官職の誘いも断り、書画骨董の鑑定な
どに後半生を費やしたと言います。

「三舟」と三人が並び称されたのは、たんに「舟」つながりの連想と、書画
作品が多い、ということだけではなくて、いずれも終末期の幕府重職にあっ
て、逃げずにその役職を誠実・無我に全うした三人であった「敬意」故でも
ありましょう。

一方で、例の大政奉還、無血開城につながる徳川家から「官軍」西郷隆盛へ
の使者を送るにあたって、将軍慶喜→勝海舟→高橋泥舟→山岡鉄舟の連係プ
レイで無事歴史の大転換を行なったことでも知られています。

※幕末三舟伝(BK1)
http://www.bk1.co.jp/product/01708165/?partnerid=02isis01
※高橋泥舟(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E6%A9%8B%E6%B3%A5%E8%88%9F

で、この軸。
http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/fude/A06-1084.html

いい字でしょう?右に跳ね上がり、いかにも武士らしい、ピンピンして潔い
(いさぎよい)筆跡です。

読みは
「風来万野香移処、雨過千山青倶時」
意味は
「風は香を野に移し留め、雨は山に芽吹きをもたらす」

私どもの解説には「山々が青く萌えはじめる頃」を詠った、とあります。

が、実際の処、戊辰戦争から西南戦争に至る嵐の吹き荒れた明治維新の傷あ
とが、しかし、転じてあたらしい国家と文化の芽吹きにつながったことを象
徴しているのでしょう。

各藩が京都や江戸を主な舞台として反目と連携そして戦闘を繰り返した幕
末は、それまで分かれていた藩の人材や文化が混ざり合い化学反応を起す
「風」を起し、たくさんの理不尽な死をもたらした戦争はしかし、列強に
対峙できるあらたな「日本人」の誕生もうながしました。

西郷隆盛があたらしい「国家」に絶望を感じて内戦の流れを作ったように、
必ずしも「理想の国家」を維新は産まなかったかもしれませんが、その「願
い」を込めて泥舟はこの書を揮毫したように思います。

高橋泥舟「七言二行『風来万野香云々』」
紙本墨書軸装
本紙137.0×63.0 cm 総丈203.0×78.0 cm
落款・印
http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/fude/A06-1084.html

続々新しい作品を展示致します。下記トップページ「トピックス」をご覧下
さい。
http://www.syukado.jp/index.html
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■次回カタログの予告
早くもカタログ夏号を準備しております。今五月末発行を目標に準備してお
ります。作品点数は40店の予定。もう少し詳しいことが決まりましたらさら
にお知らせ致します!

■秋華洞画廊オープンの予告
いままでもアートオフィスJC画廊として営業しておりましたが、六月の
「株式会社秋華洞」への社名変更と時をあわせて、今後画廊企画の方も充実
していきたいと考えております。オープン記念パーティも考えないと。

私どもは下記の地図にございます。
http://www.syukado.jp/jp/support/guide/guide.html
お車でご来訪の場合
http://www.syukado.jp/jp/support/guide/guide_parking.html

■おまけ情報
●「若冲と江戸絵画」展オフィシャルブログ
http://d.hatena.ne.jp/jakuchu/
東京国立博物館(のち京都、九州、愛知に巡回)で七月から開かれる
プライスコレクション「若冲と江戸絵画」展関連で、なんと本人ジョー・プ
ライスのブログが開設されています。本当にご本人が書かれているというこ
とがあるのかなあ。それはさておいても、プライスさんの若冲に寄せる思い
が細やかに伺えて面白いブログです。

☆☆☆☆
最後に

「ひとくちサイズ」を目指して新しくスタートしたこの「日本美術そうだっ
たのか通信」ですが、私が書くとちょっと長いかな〜。

実は、今回は「美術品買い方ガイド」の連載を開始しようと考えておりまし
たが、長くなりそうなので止めました。また次回やろうと思います。お楽し
みに!

その他、とりあげてほしい美術のトピック、素朴な疑問など有りましたら、
どんなことでも構いません、是非メール下さいね。

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◎お便りお待ちしております。
このメールへの返信で私に届きます。
みなさんのお返事、ご感想がとても力になります。ぜひぜひ、ご意見・ご感想
をお寄せ下さい。ここが違うゾ、という率直なお叱りも勿論歓迎致します!

あるいはこちらのメールアドレス⇒chiaki-magazine@aojc.co.jp
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今回も最後までご購読いただき、ありがとうございました。

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