2005-10-06日本美術そうだったのか通信
Vol.64 大三郎・通じてる?

□■□■  「日本美術そうだったのか通信」 Vol.64
発行 有限会社アートオフィスJC・秋華洞
http://aojc.co.jp/  アートオフィスJC
http://www.syukado.jp/ おんらいんぎゃらりい秋華洞
現在発行部数8,720通(独自配信5,233  まぐまぐ 3,438 melma!49)
————————————————————
<本マガジンの説明>
日本美術の鑑賞界のホットニュース、古今国内東西の作家のエピソード、美術業界
裏話など、日本美術をより楽しむための情報をお届けします。
アートオフィスJC・秋華洞提供。
————————————————————
■□■□■□■□■
もくじ
—————–
・あいさつ
・作品紹介「中村大三郎」
・懸賞のお知らせ
・社員募集
・イヤマの今週のステキさん
■□■□■□■□■

こんばんは!

アートオフィスJC・秋華洞の田中千秋です。

ここにきてちょっと暑さが来た、と思えば雨で涼しくなったり、寒暖の差が
激しい今日この頃ですね。風邪などひかないよう、お互い気を付けましょう。

先日、とあるお客様の処へ参りました。お父様がある業界の要職についていた
とのことで、家中に贈答品である、壷などの美術品があふれ、蔵一棟がうまっ
てしまって、整理をはじめると仕事が出来なくなるくらいであるとのこと。

「持てるものの悩み」ともいえますが、しかし、多少場所を取っても処分せ
ず、亡くなるまで蔵をいっぱいにしても取っておいた故人は義理堅い方だっ
たのではないかとも感じました。売ってしまったり、捨てたりするのも贈っ
た方に申し訳ないと思われたのではないでしょうか。

贈り物というものは難しいですね、偉い人に贈って差し上げても、さして印象
に残らず、しかも邪魔にさえなってしまうことさえ有る。「贈る相手」と「贈
るもの、こと」はよく考えないと、いけないかもしれませんね。

「モノ」は「偉い人」ではなくて、身近な人に贈るとか、「偉い人」には、キ
エモノ(食べ物)や、何か楽しい体験をお贈りするとか。あるいは半端でなく
とびきりすばらしい美術品を贈って差し上げるとか(注:商売気丸出し)。
まじめに考えると結構難しいテーマかも知れない、ですね。

●●ちょっとお願い●●
みなさんのお便りがとても励みになっております。是非是非、お寄せ下さいま
せ。「難しい」「下手くそ」など、ご批判も大歓迎です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今週の作品紹介
——————————————————————
■中村大三郎『舞妓』(なかむらだいざぶろう・まいこ)
http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/50c6fs00f8qlgwoctv

掛軸の紐を解いてスルスルっと軸を開いていくと、神々しいまでの気品のあ
る「舞妓」が現れます。

ため息の出るような名品です。

・・しかし、おしむらくは「キズモノ」でもあります。舞妓の顔を横切る形
で布の傷がスッと走っています。「美人画」に「キズ」は、かなり痛い。

実は傷があるものをお客様にお勧めするのはどうかな、と思って倉庫に入れ
ておくつもりでしたが、スタッフは勿論、関係者など多くの方に、この作品
の良さを指摘して頂いた上、傷のことをさておいてもお勧めするべきだとの
声を得て、公開することに致しました。

作者・中村大三郎は明治31年生まれの京都出身、帝展で活躍し、当時おなじ
く京都で活躍し将来を嘱望された福田平八郎、堂本印象と共に、若手三羽烏
(さんばがらす)とも呼ばれ、二度特選に選ばれ、のちに帝展審査員ともな
りました。

初期は浮世絵の影響を受けたと思われる切れ長の眼の時代美人を得意として
いましたが、昭和の初め頃から現代女性を描くようになり、顔の描き方は、
ぐっと近代的な描写になりました。

彼にとって特にエポックメイキングであったのは、大正15年に発表した『ピ
アノ』でありましょう。
下記はGoogleのイメージリンクです。

http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/50c6gs00f8qlgwoctv

時代がかった美人しか描けないと思われていた大三郎が俄然奮起して「現代
の女性」もこれだけ描ける、と世間に知らしめた一作でした。以後、主とし
て「良家のお嬢様」風の女性像を描くことが多くなりますが、完璧なデッサ
ン力と優雅で澄み切った画風では他に追随を許さないものがあります。

残念ながら早くも49歳(昭和16年)で亡くなった大三郎は、たとえば
「三羽烏」の平八郎や印象ほどには、現代人に知られた存在に「なり損ねて」
しまいましたが、その筆力から云って、あと20歳長く生きていれば、当然、
松園、深水、清方と並んで現代に強く印象を残した筈です。

※)余計なことですが、長生きは一種の「芸」のひとつではないでしょうか。
たとえば、横山大観の偉大さは誰もが認めるところですが、もし菱田春草と
同じく30代で亡くなっていたら、歴史的にさほどの評価を得ずに終わった
かもしれません。

さて翻って(ひるがえって)本作。
http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/50c6hs00f8qlgwoctv

これは色がいい。

まず、背景の余白も単に白一色でなく、北斎の浮世絵版画のように影が画面
上部にさされて画面に奥行きを与えていますが、この舞妓さんの着物の「緑」、
襟の「赤」の、微妙な節度が、きわめて高い気品を作品に与えています。

描かれた顔の色合いは、幽玄の境地というのでしょうか、多くの大三郎作品
が「健康的」な美しさをたたえた幸福感に満ちているのに対して、本作は日
常から離れた聖なる像として、日常的な美しさを越えた像を目指しているよ
うにも感じられます。

集英社「現代美人日本画全集 3 北野恒富・中村大三郎」の「(30)舞
妓 大正10年作」に、殆ど同じモチーフ・モデルと思われるが、全身像を
描いた作品が掲載されています。本作は同時期にサイズを変えて描いた像と
考えるのが自然でしょう。

ただし、画集掲載作は、少女のあどけない表情が「ふだん」の健康的な少女
像としてイメージされるのに対して、本作は、もっと聖なるイメージにステッ
プアップしているように思います。

「キズ」が惜しまれる作品ですが、どうぞ詳しい内容についてはお問い合わ
せ下さい。

中村大三郎『舞妓』
絹本着色軸装
本紙43×51 cm 総丈140×66.5 cm
キズあり
落款・印・共箱(二重箱)
http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/50c6is00f8qlgwoctv

作品は一点限りです。お問い合わせ・ご用命はお早めにお願い致します。品
切れの際はご容赦くださいませ。

作品は、東京・銀座六丁目、電通通り沿いの、弊社アートオフィスJC画廊で
御覧になれます。また、スタッフ出張により御覧いただくことも出来ますので
ご遠慮なくお申し付け下さい。

<弊社開廊時間>
平日、土曜 10:00-18:00
日曜休廊
※平日にお越しの方には、当店自慢の美人社員・イケメン社員(当社比)が
お茶をお入れします!

http://aojc.co.jp/corp/index.html#map
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

○○○○○○○○○○○
懸賞のお知らせ「365日懸賞」10月3日スタート!

みなさんのご愛顧に応えて、素敵なプレゼントが当たるキャンペーンです。
(紋切り型)。

現金1万円または、児玉希望先生の複製版画「五重塔」が当たります!

その他、協賛各オンラインショップから、毎日プレゼントが当たる「365
日懸賞」です。今回は10月17日締め切り。ドシドシご応募ください。
http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/50c6ks00f8qlgwoctv
○○○○○○○○○○○

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
スタッフ募集します!

正写真を新たに募集いたします。一名。
仕事内容は、作品の整理、撮影、ウェブへの登録、画廊での接客など。
文章力に自信がある方、ウェブや画像の処理が得意な方、歓迎します。

詳しくはこちら
http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/50c6ls00f8qlgwoctv

(リクナビNEXTでも来週から募集広告を出す予定です。)

まずは弊社まで履歴書(写真添付)を送ってください。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

さてさてい、おなじみ、イヤマのコーナーです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
イヤマの☆★☆今週のステキさん★☆★ 「ネットってステキ」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

先日、フトこんなことを思いました。

今の日本のインターネット人口って、どのくらいなのかしら?と。
そう言えば「インターネットの普及率、○%突破!」なんて記事すら
見かけなくなったなぁ、と。

普及率にニュース性がないくらい、もはや当たり前のものになって
しまったのかもしれませんね。インターネットもメールも。しかし、
それらがあってこそ、日本はもとより世界中の方々と、こうして言葉を
送ったりできるのですから、なんともありがたいことでございます。

ところで。

当社はインターネット上の画廊『おんらいんぎゃらりい秋華洞』を
運営すると同時に、小さいながら実店舗も持たせていただいており、
その店舗に先日、インターネットを介してお知り合いになった方々が
ご来店くださいました。

その方たちとは、最近ちょっとブーム?な
「ソーシャルネットワーキングサイト(またはサービス)」
通称SNSを通じて知り合ったのですが、

■IT用語辞典e-word「ソーシャルネットワーキングサイト」とはhttp://k.d.cbz.jp/t/h4vn/50c6ms00f8qlgwoctv
(「SNSって何?」のお方は、よろしければこちらをご参照くださいませ)

一般的には、会員からの招待状がなければ入れない、インターネット
上の社交場、のようなものです。ブログやメール送受信に似た機能を
持つほか、人と集ったり人を募ったり…。その他、用途や活用法は様々
ですが、コレ、なかなかに楽しいものです。

SNS内では、元から知っている人とネット上でもコミュニケーションを
図ることもできますし、そこでのお知り合いも増やすこともできます。
共通する趣味を持っている方と親交を深めたり、そうして知り合った方と
積極的に会われる方もいらっしゃるようですが、SNSのみのお付き合いの
方とお会いするのは、わたしはその日はじめてでした。

が。

ご来訪いただいた2時間ほど、それは楽しいひとときでした。代表の田中
千秋も交え(田中も同じSNSの一員です)、旧知の仲のようにたくさんの
お話しをさせていただきました。画面を通じてとは言え、それまで何度も
言葉を交わさせていただいていて、その方達のお人柄や人物像(もちろん
アウトラインですが)が既に見えていたのも、一因かもしれませんが…。

『秋華洞』のようなオンラインショップでは、お客様と一度も顔を合わせ
ないまま、お取り引きを終えることもしばしばで、まさにインターネット
だけのお付き合いになったりもしてしまうのですが、そんな状態が続くと
つい、

“私たちの声や想いは果たしてお客様に通じているだろうか?”
“お客様の声を私たちはきちんと聞けているだろうか”

という不安にかられてしまいますが、

先日のご対面を通じ、直接会わずとも心を通わすことはできるのだ、
ということが分かり、少し安心、そして、とても嬉しく思いました。

まだお目にかかったことのないお客様方と、
言葉、つまり文字だけで、いかにコミュニケートしていけるか。
これは当店『秋華洞』の重要な課題のひとつです。

インターネットがたとえ無機質なものに思えても、
画面の向こうにはいつも「人」がいるということ、

このことを忘れず、よりあたたかな画廊を目指していこう、
改めてそう思わせてくれた、ある秋の日の出来事でした。

・今週のステキさん…インターネットと人との出会い
・今週のステキ度 …☆☆☆☆☆

★予告★
あら。今回はちょっとマジメすぎたでしょうか?
次回の「ステキさん」は、ちょっとユニークな社内の風景を、
現場からたっぷりお届けいたします。どうぞお楽しみに!

************************************************************************
このメールへの返信で私に届きます。
みなさんのお返事、ご感想がとても力になります。ぜひぜひ、ご意見・ご感想
をお寄せ下さい。ここが違うゾ、という率直なお叱りも勿論歓迎致します!

あるいはこちらのメールアドレス⇒chiaki-magazine@aojc.co.jp
************************************************************************

最後までお読み頂き有り難うございました。

————————————————————
☆☆「カタログ誌 秋華洞 2005夏号」好評!無料配布中
https://www.syukado.jp/jp/support/catalog/index.cgi
おかげさまで10数点お買いあげいただきました。まだ優品が残っています。
ご注文はお急ぎ下さい。
●●「書画・絵画鑑定マニュアル」第二回配布開始しました。
http://aojc.co.jp/kantei/

■■■■■■■■■■■■■■■■

美術品無料査定・買取致します。
アートオフィスJC 高価買取はこちらです。
http://aojc.co.jp/buy/
buy@aojc.co.jp
フリーダイヤル 0120-126-510 (イツモコットウ)

■■■■■■■■■■■■■■■■

★★「おんらいんぎゃらりい秋華洞」美しい展示が好評です!
http://www.syukado.jp/
☆★「秋華洞・丁稚ログ」新米美術商の赤裸々な日々
http://blog.livedoor.jp/syukado/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発行 有限会社アートオフィスJC
http://aojc.co.jp/ TEL 03-3569-3620
東京都中央区銀座6-4-8 曽根ビル7F
代表取締役 田中自知郎・田中千秋
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
アートオフィスJC・秋華洞のご案内

主に日本の美術品・古美術品を中心に、幅広く取り扱っております。

近代絵画・現代絵画を軸とし、さらに、鎌倉・室町時代より、現代に至る
まで、あらゆる分野で活躍した画家・高僧・武将・文人・歌人・俳人の手に
よる絵画・書蹟、時代屏風、絵巻、古文書、古写本、古版本、稀覯本(きこ
うぼん)を専門とし、その他、彫刻、工芸品、茶道具など、多岐にわたって
対応致します。

弊社は平成15年に設立、平成16年に開店致しましたが、50年近く美術業界
で活躍した代表・田中自知郎が長男・田中千秋と共に新たに設立致しました。

(代表プロフィールは↓)
http://aojc.co.jp/corp/profile/index.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎ご意見、お問い合わせは、→ info@aojc.co.jp
(またはこのメールへご返信下さい!)
◎バックナンバーはこちら →
http://www.syukado.jp/sodatta/index.html

◎秋華洞、アートオフィスJC自社配信分【日本美術そうだったのか通信】の
マガジン登録、解除→
http://www.syukado.jp/sodatta/index.html
※本メールマガジン独自配信分はコンビーズメールの配信システムを利用し
ています。
http://www.combzmail.jp/ コンビーズメール
まぐまぐ《日本美術そうだったのか通信》の登録・解除→
http://www.mag2.com/m/0000138331.htm
melma<日本美術そうだったのか通信>の登録・解除→
http://www.melma.com/backnumber_124770/
※melma!配信分は件名が<日本美術そうだったのか通信>となっています。

※※まぐまぐ配信で登録された方は、まぐまぐでの解除をお願いします。
自社配信登録解除URLでは、まぐまぐ配信分の「解除」は行えません。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━