2014年は5月から真夏日が各地で記録されるなど、猛暑の兆しが…。
そこで秋華洞からちょっと早い暑中お見舞い。妖怪や幽霊の浮世絵であなたにぞくっとする涼しさをお届けします!
4代目鶴屋南北(つるやなんぼく)の代表作、東海道四谷怪談でおなじみ。 塩冶家の浪人四谷左門(よつやさもん)の娘お岩とお岩の夫、極悪非道な民谷伊右衛門(たみやいえもん)の物語。
こちらは中でも有名な、伊右衛門を孫娘の婿に迎えたい伊藤喜兵衛が仕込んだ毒薬によって、お岩の顔が変わり、恨みを残して死んでいく「元の伊右衛門浪宅の場(もとのいえもんろうたくのば)」。
左は伊右衛門の悪事に協力する按摩の宅悦。
浮世絵師。画号に一勇斎・採芳舎・朝桜楼などがある。江戸日本橋にて染物屋の子として生まれたが、文化末年から 初代豊国 の門人となり、 役者絵 ・挿絵などを描き始める。文政末年より描き始めた錦絵「通俗水滸伝豪傑」シリーズで人気が急騰。以後「 武者絵 の 国芳 」として評判を得る。柴田是真にも学んだとされ、天保期には 洋風 風景画 も手がけるようになり、また 戯画 の豊かな発想から幕末の奇才と呼ばれる。
皿屋敷のお菊伝説には諸説あるが、その中でも有名なのが、番町と播州(兵庫)。物語に共通するのは主人秘蔵の皿を割ったため責め殺された娘の亡霊が現れ、皿の数を数えるところ。
累はもともと美しい女性であったが、夫与右エ門が殺した累の父、助の霊が乗り移ったことにより醜い顔となってしまう。累は夫が娶った後妻5人を次々に殺していく。いわゆる累ものという歌舞伎演目はいろいろあるが、そのなかでも「色彩間苅豆(いろもようちょっとかりまめ)」はよく上演される。
(1)たそがれ時に出る(皆に気づいてもらいたいから)
(2)誰にでも出る
(3)決まった場所に出る(テリトリーが決まっている)
幽霊は、
(1)丑三つ時に出る
(2)決まった人に出る
(3)どこにでも出る
夏の歌舞伎といえば、「怪談狂言」。
上記の東海道四谷怪談、番町皿屋敷、累をはじめ、2014年の納涼歌舞伎の怪談乳房榎など、ヒット作が並びます。
そんな「怪談狂言」の中でも負けず劣らずの大ヒット作がこちら。
嘉永4年(1851)8月初演。三世瀬川如皐の作。実在した義民佐倉宗吾の物語を脚色。歌舞伎の中では浅倉当吾となっている。
「堀越大領」とは、農民へ重い税を課したことで知られる領主だが、義民浅倉当吾が足利義政に訴えたことで悪政は改められる。しかし将軍への直訴という禁制を犯した当吾夫婦は捕えられ、3人の子ども共々、家族全員が処刑の憂き目に遭った。
天竺帰りで妖術使いの徳兵衛が主人公。天竺徳兵衛韓噺(てんじくとくべえいこくばなし)の初演は文化元年(1804年)。最近では平成24年に四代目市川猿之助さんで天竺徳兵衛新噺(てんじくとくべえいまようばなし)の上演があった。