「無題」
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サイズ58.5×39.0(73.0×53.0)cm
素材紙に墨・彩色
備考額装
画中にサイン
篠田桃紅鑑定委員会登録証書
平成18年作
作品番号A2-97-556
作品解説
闇夜のように深い墨。しなやかに走る白の筆線は所々消え入り、沈んでは浮き上がる行の韻律もまた、もの侘しさを感じさせる。和歌はいずれも式子内親王のものであり、桃紅が親しんだ新古今和歌集による。上部には、淡墨を重ねた空間が広がり、一刷きの銀泥が冴えた光をもたらす。墨は画面をたゆたい、雫となって滲み、多彩な色感と奥行きを生む。濃墨と文字による緊密な空間と、叙情的な色面との対比は、詩情を豊かに表現している。

【読み】
ほとゝきす
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篠田 桃紅(しのだ とうこう)
大正2(1913)~令和3(2021) 書家、美術家。本名、満洲子。ほぼ独学で書を学び、伝統的な書道から戦後は前衛的な墨象に移行する。昭和30年代に欧米に滞在し、各地で個展を開催を重ねる。「墨象」と呼ばれる水墨の抽象画が高い評価を得る。代表作に東京芝増上寺の壁画など。文章も能くし、同55年『墨いろ』で日本エッセイスト・クラブ賞。著書に『一〇三歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い』など多数。
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