2005-06-03日本美術そうだったのか通信
Vol.50 50号になりました。

□■□■  「日本美術そうだったのか通信」 Vol.50
発行 有限会社アートオフィスJC・秋華洞
http://aojc.co.jp/  アートオフィスJC
http://www.syukado.jp/ おんらいんぎゃらりい秋華洞
現在発行部数2,842通(独自配信334 まぐまぐ 2,466   melma!42)
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<本マガジンの説明>
日本美術の鑑賞界のホットニュース、古今国内東西の作家のエピソード、美術業界
裏話など、日本美術をより楽しむための情報をお届けします。
アートオフィスJC・秋華洞提供。
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ありがとうございます。

今日もメールを開いていただきましたね。どうぞ最後までお楽しみください。

アートオフィスJC・秋華洞 田中千秋です。

本メルマガもお蔭様で50号を迎えました。

メルマガを書き始めるときに、実はちょっと意識していたのが「きもの人」
の伊藤さんのメルマガでした。
http://www.kimono-bito.com/merumaga.htm

もうですね、この方のマガジンは、とにかく物量がすごいんです。毎日!毎
日!エネルギッシュなメールが来ます。

伊藤さんとは4年ほど前にある会合でお会いして以来、強い印象を持ってい
ました。とにかく元気いっぱいでオシの強い方。しかも美人。

メルマガをはじめるに当たって、私は誓いました。自分に。

よし、見習うぞ!

というわけで、私も毎日!最初はこのメルマガを出そうと思って始めました。

http://www.syukado.jp/sodatta/archives/2004/09/vol_1.html
↑創刊当初のこの頃を見ると、日付が「一日ごと」になっているのがわかり
ます。

ところが。

ンな毎日、美術情報などいらないよ。
毎日読むのは、ちょっとウンザリ。
毎日書く方も大変じゃない?
え?読んでない。

・・・暖かいご批判といたわり、そしてやわらかな無視を主に身内や、先輩
(私立武蔵高校)がたからいただきまして、ヘコミつつも、がんばりました。

最初のうちは。

だけど、続きませんでしたねえ。結局今の週一に、昨年(2004年)暮れ
あたりから落ち着いています。やはり、私にとってはこれがちょうどいいペー
スのようです。

それでも、少しづつ、ご感想のメールをいただくことも増えて、今はお蔭様
で読者も3000名に届こうとしています。よりいっそう楽しい日本美術情
報をお届けしようと思いますので宜しくお願いします。

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「鑑定マニュアル」をご紹介いただきました。
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かの有名なる日本画サイト、オールアバウトの「日本画」コーナーの
ガイドである松原洋一さんに弊社会長執筆の「書画鑑定マニュアル」のご感
想をいただきました。

※All About 「日本画」
http://allabout.co.jp/entertainment/japanesepaint/
オールアバウトは、最初はリクルートが出資して、各ジャンルの専門家がその
道をガイドする、というフレコミで始まったネット上の情報サービスで、今で
はずいぶん定着しています。内容も各ジャンルかなり充実していると言ってい
いでしょう。

以下その日本画サイトを運営・ガイドしていらっしゃる松原さんからのメー
ルです。

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> 「書画・鑑定マニュアル」をお送りいただきまして
> ありがとうございました。
> 大変読みやすく、内容も一般の方から信用を得られるものだと思います。
>
> さっそく下記「日本画を買ってみる」にリンクいたしました。
http://allabout.co.jp/entertainment/japanesepaint/subject/msub_nihonga-kau.htm
>
> また新しい試みなどありましたらご連絡いただければ幸いです
——————————————

ということで、オールアバウトのページに、私どもの「書画・鑑定マニュア
ル」へのリンクを作っていただきました。松原さん、ありがとうございまし
た。

※オールアバウト「日本画を買ってみる」
http://allabout.co.jp/entertainment/japanesepaint/subject/msub_nihonga-kau.htm

本冊子は、「日本画」を「売る」のにも、「買う」のにも参考になる冊子かと
思います。
弊社としては「会社案内」代わりにみなさんにお配りしておりますが、本屋
さんにならべられる本としての発行も検討しておりますので、無料でお送りす
るのは今だけかも知れません。でも、もし本になったあかつきには、是非みな
さん買ってくださいね。

『書画・鑑定マニュアル –混迷と誤解に満ちた「鑑定」の核心にせまる』
ご紹介ページ
http://aojc.co.jp/kantei/
まだ少しあります。無料配布中。

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今週の新入荷情報
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HPへのアップを控えたネクストバッターズサークル(とベンチ)には次の
作品が出番を待っています。(順不同、敬称略)

須田剋太  陶器彫刻(珍しい!)
穐月明   日本画軸装(洒落物)
青山亘幹  日本画額装(綺麗)
織田廣喜  洋画小品(定番ロマン)
森狙仙   日本画軸装(猿。江戸期秀作)
小室翠雲  日本画軸装(弊社オススメ)
平松礼二  日本画軸装(華麗)
中村天風  色紙(未定)
今尾景年  日本画軸装(軽いもの)
原田大三郎 日本画軸装(出し惜しみ)
鏑木清方  日本画軸装(美人画淡彩)
与謝野晶子 短冊(素敵)
・・・等。

では、アップのすんだ作品を紹介していきましょう。

■天田愚庵『童謡三首「大宮人云々」』(あまだぐあん・どうようさんしゅ
・おおみやびとうんぬん)
http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/fude/A05-0026.html
やっと、秋華洞らしい?作品の登場です。

天田愚庵は、山岡鉄舟(やまおかてっしゅう)の紹介で、清水次郎長の養子
となり、その縁で「東海遊侠伝(とうかいゆうきょうでん)」という、清水
次郎長の名が世に出るきっかけとなる書を著しました。

後に正岡子規の短歌の革新運動にも影響を与えたという歌僧でもある天田愚
庵の、本作は童謡から採ったものなのでしょうか、落款の前に「昨今の童謡」
とあります。短歌が三首ありますので、「三首懐紙」の形式になっています。

まだ弊社は万葉仮名などを解読する体制ができていませんので、一部しか読
み下せていませんが、たとえば出だしはこう読めます。

大宮人いざこととあむ

大君は今朝の○○きこしをしや・・・

正岡子規。この人の短歌理論も、古今和歌集などの古典や、同時代の短歌群
を「月並み」と切りすて、一方で万葉集を称揚するなど、その理論も生き方
も痛快で面白いのですが、その友人であり、子規の理論にも多大な影響を与
え、一方で次郎長、鉄舟にも深くかかわったこの禅僧の残した筆跡も興味深
いですね。

ちなみにこの作品の箱書きは、中国書画の専門家として知る人ぞ知る長尾雨
山がしております。

雨山は、呉昌碩(ごしょうせき)の箱書きをする専門家として信用度が極め
て高く、一方で夏目漱石に漢文の添削(!)を頼まれたほどの漢籍に教養のあ
る人物です。

・・・めったやたらには雨山先生は箱書きなどしないのだが本作については、
「特別に」してもらった・・・という顛末の記された(手紙)が添付されてお
ります。

※愚庵と本作についてはもう少し勉強しておきます。

参考サイト:

天田愚庵について
http://www.shidou.fks.ed.jp/jiten/cgi-bin/jnbt.cgi?id=view&cd1=%A4%A4%A4%EF%A4%AD%BB%D4&cd2=%C5%B7%C5%C4%B6%F2%B0%C3
書籍 歌僧天田愚庵『巡礼日記』を読む
http://www.bk1.co.jp/product/2488614
千夜千冊 長尾 雨山 中国書畫話』
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0003.html

天田愚庵『童謡三首「大宮人云々」』
紙本墨蹟軸装
本紙31.0×120.5cm 総丈150.0×126.5cm
落款・長尾雨山箱書き
http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/fude/A05-0026.html

■小杉放菴『遊禽』(こすぎほうあん『ゆうきん』)再紹介
http://www.syukado.jp/jp/search/detail/artist/jp_b/KOSUGI_HOAN/A05-0025.html
前回お約束したとおり、画部の拡大図を追加し、さらに、箱、落款、鑑定証
も撮影いたしました。

先日、本作を畳の間に拡げる機会を持ちましたが、和室になんともいえない
気品を放つのが嬉しいものでした。

パソコンの画面では、この品性が伝えきれないのが残念ですが、ご興味のあ
る方は是非お声をおかけください。東京銀座の弊社画廊でご覧になれます。

小杉放菴『遊禽』
紙本着色(放菴紙)・軸装
本紙44.5×53.0cm、総丈153.5×67.0cm
落款・印・共箱・東京美術倶楽部鑑定証添付
http://www.syukado.jp/jp/search/detail/artist/jp_b/KOSUGI_HOAN/A05-0025.html

■滝和亭『布袋』(たきかてい・ほてい)
http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/kake/A05-0027.html
七福神のアイドル、布袋さんの図です。なんとも可愛い、愛嬌のあるタテモ
ノの軸です。
写真の解像度に限界がありまして、現在ややイメージがぼやけた印象ですが、
これは時代がやや古い(といっても明治前半ですが)わりには、状態が綺麗な
うえに、案外洗練された、シャープで洒脱な筆致です。

この作品が似合うお家は今は少ないのかな・・・けれどもご家庭の福の神とし
てお勧めの一作です。素敵な絵ですので、縁起物で買うのでしたら、そこいら
のデパートでヘンな今風の掛け軸を買うより絶対にお値打ちです。(ちょっと
カゲキな物言いをしてみました。)

滝和亭は明治時代の代表的な花鳥画作家でした。中国南画の伝統を取り入れ、
豪華ケンランな花鳥画をたくさん残しています。本作の布袋は、おそらくは
縁起物の注文画なのでしょうか。

和亭の洒脱な一面がみえて、好ましく思えます。

箱書きは和亭(かてい)の弟子である佐藤紫煙が行っています。紫煙は現在
はあまり知られていませんが、これも師匠の画風を受け継いで、なかなかの
実力派です。

参考:弊社が以前持っていた佐藤紫煙作品
http://aojc.co.jp/sell/works/JK00008SS.html

滝和亭『布袋』
絹本着色軸装
本紙129.0×32.7cm 総丈208.0×49.3cm
落款・印・佐藤紫煙箱書き
http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/kake/A05-0027.html

☆作品は弊社画廊で御覧になれます。作品はそのもの一点限りですので、購入
をご希望される方はお早めにご連絡下さい。
<弊社開廊時間>
平日 10:00-18:00
土曜 10:00-18:00
(ただし土曜日は都合により閉める場合がありますので、事前にご連絡を。)

TEL 03-3569-3620 or 03-3569-3990
東京都中央区銀座6-4-8 曽根ビル7F

弊社案内図
http://aojc.co.jp/corp/index.html#MAP
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来週の予告
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新作紹介にスペースを取りましたので、特集は次号にゆずります。
次号は「箱は大事」のその2の予定です。

ちなみに「箱は大事」のその1はこちらです。
http://www.syukado.jp/sodatta/archives/2005/04/vol43.html

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おまけ 前号「靖国」の波紋
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靖国問題については、私の意見に憂慮されるご意見、近いご意見など幾つか頂
きました。そういえば昨日(6月3日)の朝日新聞朝刊には「そもそも靖国神社
ってなんなのか」をグラフィティで記した特集がありました。いい記事だと思
いました。抽象的でなく具体的な資料だったから。国、歴史、そして戦争、と
いうものを考えるうえで、この問題は、いいテーマであると同時に、現在の私
たちに影響する、シリアスな問題ですよね。ただテーマがいささか本マガジン
から脱線していますので、ブログで時々触れようかな、と思っています。
というわけで、ブログもよろしく、です。

「秋華洞・丁稚ログ」
http://blog.livedoor.jp/syukado/

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このメールへの返信で私に届きます。
あるいはこちら⇒chiaki-magazine@aojc.co.jp
投稿いただいたメールは、本メルマガに掲載する場合があります。掲載され
るのがお困りの方はその旨お申し付けください。
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最後までお読み頂き有り難うございました。

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(秋が長い。。。スミマセン、次号準備中)
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代表取締役 田中自知郎・田中千秋
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主に日本の美術品・古美術品を中心に、幅広く取り扱っております。

近代絵画・現代絵画を軸とし、さらに、鎌倉・室町時代より、現代に至る
まで、あらゆる分野で活躍した画家・高僧・武将・文人・歌人・俳人の手に
よる絵画・書蹟、時代屏風、絵巻、古文書、古写本、古版本、稀覯本(きこ
うぼん)を専門とし、その他、彫刻、工芸品、茶道具など、多岐にわたって
対応致します。

弊社は平成15年に設立、平成16年に開店致しましたが、50年近く美術業界
で活躍した代表・田中自知郎が息子・田中千秋と共に新たに設立致しました。

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