2008-02-14日本美術そうだったのか通信
《日本美術そうだったのか通信》Vol.149 源氏物語

□■『日本美術そうだったのか通信』Vol.149 源氏物語 ■□

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もくじ
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・ご挨拶
・これが絶品!カタログ13
・源氏物語
・ネットで愉しむ秋華洞 〜新着作品〜

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今年初めてとなる、秋華洞カタログ初春号が完成致しました。
皆様のお手元に届くのは、来週となると思います。ご希望のお客様には無料
にて配布しておりますので、どしどし御請求下さいませ。
最近はおかげさまで、カタログも在庫切れになることが多いので、なるべく
早い御請求をお待ちしております。

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■□■カタログ13■□■

 先週は幕末〜明治の画家、菊池容斎をご紹介しましたが、今週はその弟子、
渡辺省亭に登場してもらいましょう。

この省亭という人、実はかなり海外で名が知られています。伊藤若冲を思わ
せる、華々しい花鳥が、海外の人々を魅了しました。

省亭は明治11年には、日本画家して初めてヨーロッパに留学。明治22年には、
山村美妙の小説「胡蝶」の挿絵で女性の裸体を描き、物議を醸します。これ
は、西洋帰りの洋画家・黒田清輝が「朝妝」でヌードを描き、一大論争を巻
き起こすという事件の実に6年前。省亭は西洋の美意識をいち早く日本に導
入した、先駆的画家であったのです。ちなみに俳人・渡辺水巴の父です。

明治初年の殖産興業が盛んな時代、日本は各国の万博で自国の伝統的工芸品
の海外評価に手ごたえを感じ、時には県主導(石川県における九谷焼や、愛
知県、佐賀県など)でどんどん製作・輸出をしました。省亭もまた、起立工
業会社というところで図案描きの仕事をしていました。そこで、工芸品の図
案を描く、という仕事が、新時代にあって低迷していた日本画家たちの、よ
い仕事となったのです。

最も喜ばれた画題が、華々しい花鳥画で、西洋の人々も日本人の才能を、花
鳥など繊細な作品に見出していました。人物画は非常に海外にウケが悪かっ
たのです。しかし省亭の師、容斎はその人物画で知られています。他の容斎
門下の画家も語っていますが、師が人物で知られる画家だから、求められて
いる花鳥を描くには不便で、自分なりに学んでいったということです。

容斎はとにかく型に嵌った流派を嫌い、人物写生を重んじ、その人の自由さ
や個性を伸ばす教育をしました。なにかと師風や流派に縛られる、それまで
の絵画の意識を脱した教育は、門人の技術と個性を伸ばし、求められた画題
にすんなり対応できる力をつけることとなったといえましょう。

さて、カタログ掲載の省亭の作品は「静歌舞之図」。白拍子として踊る静御
前を描いたものです。これは、先週紹介した容斎の『前賢故実』で描かれた
図様に倣っています。やはり、この『前賢故実』がいかに現在に至るまで影
響力を持っているかが分かります。ためしに、wikipediaで「静御前」を検
索してみてください。同じ図が出てきます。

wikipedia「静御前」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%99%E5%BE%A1%E5%89%8D

カタログの本作は着彩の、リアルで美しい作品となっています。花鳥画で知
られた省亭は、師の画風とはおよそかけ離れた感がありますが、本作は、改
めて省亭が容斎門下であったことを認識させる作品です。おそらく、省亭は
この『前賢故実』の「静」などを、相当練習したことでしょう。近代の始ま
りを告げるような、個性的な存在の省亭も、やはり師に習ったのだなと、改
めて思います。

カタログ請求→https://www.syukado.jp/jp/support/catalog/index.cgi

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■□■ 源氏物語 ■□■

 世界最古の長編小説、としばしば言及される「源氏物語」ですが、1008年の
記録に確認できるということで、この年をもって「完成」ということに致し
ますと、今年はちょうど1000年目になります。

今年は「1000周年」を記念して、様々なイベント、講演会、シンポジウムな
どが予定されております。

主なイベントとしては、

□http://www.2008genji.jp/event/index.html

□源氏物語1000年紀委員会

http://www.2008genji.jp/
http://www.2008genji.jp/iinkai/index.html

□源氏物語1000年紀事業(京都府)
http://www.pref.kyoto.jp/2008genji/

□源氏物語1000年紀事業(京都市)
http://www.city.kyoto.jp/sogo/sousei/genji/

□京都府京都文化博物館
http://www.bunpaku.or.jp/exhi_genji.html

などなどです。

実質的に日本の支配権を長く握っていたのは、12世紀から19世紀にかけて、
武家政権でしたが、どんなに醜い争いがあろうとも、各政権がけっして犯そ
うとしなかったのが「天皇」の権威でした。武家政権が終わり、近代政治が
始まる「明治維新」も、「天皇」の復権を名目として行われましたし、アメ
リカへの敗戦で「戦争責任」が問題となった当時の昭和天皇も、結局戦犯と
して罰せられることはなく、今も「象徴天皇」制度は続いています。

今月の芸術新潮でも触れておりましたが、源氏物語は紫式部が書いたことに
なっていますが、その原本は現在残されていません。それどころか、その原
本の直接の写本も残されていません。そこからさらに写された数多くの写本
から、原本を推測して現在の「源氏物語」のテキストが編まれていますって
そのぐらいメルマガ読者の方々はご存知ですよね。

最近オープンした、秋華洞英語サイトで源氏物語にちなんだ作品を紹介して
います。

http://www.japanese-finearts.com/item/list2/107006610/

源氏物語の「もみじのが」「ゆうがお」のストーリーから引用した小さな屏
風です。ちょっとした間仕切りにとても可愛らしいものです。江戸中期に作
成したと考えられています。あなたのお部屋を彩ってみませんか?

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■□■ネットで愉しむ秋華洞 〜新着作品〜■□■

□ 川合玉堂 『渚之雁』
羽の毛描きを、墨の滲みをリズムよく重ねることで表してしまう点は見事です!

http://www.syukado.jp/jp/search/detail/artist/jp_b/KAWAI_GYOKUDO/A08-0065.html

□ 朝井閑右衛門 『白雪姫』
にっこり微笑んでいる白雪姫といかにも一癖(?)ありそうな物語の登場人物たち。
エネルギーに満ちた作品です。

http://www.syukado.jp/jp/search/detail/artist/yo_b/ASAI_KAN-EMON/A07-017.html

□ 堂本印象 『清秋』
堂本印象独特の潤いある水墨描法を見てください。

http://www.syukado.jp/jp/search/detail/artist/jp_b/DOMOTO_INSHO/A07-0504.html

□ 酒井三良 『朝霞』
無駄な要素は一切無く、一つ一つが鮮やかな手さばきのうちに構成されている作品です。

http://www.syukado.jp/jp/search/detail/artist/jp_b/SAKAISANRYOU/A07-0541.html

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■□■ご感想をお待ちしております!■□■

最後までお読みいただき有難うございました。
秋華洞メルマガ編集担当、桑田郁子がお送りいたしました。

みなさまからの感想をお待ちしています。
このメールへの返信、あるいは「お問い合わせフォーム」、あるいはカタロ
グ添付のハガキ、FAX連絡用紙、お電話などでも結構です。

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次号もお楽しみに!

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その後平成18年に「株式会社秋華洞」と商号変更致しました。

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