2012-01-22日本美術そうだったのか通信
『日本美術そうだったのか通信』Vol.275 あをによし奈良、知られざる線刻仏

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■今週の「そうだったのか!」━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

昨年は新薬師寺の十二神将がCMで話題となりましたが、今年は東大寺戒壇堂の
四天王がTVに登場しています。写真撮影もスケッチも禁止されているこの国宝、
やはり本物の迫力を味わうには、自分の足で奈良に赴くしかなさそうです。

戒壇(かいだん)は、僧侶として守るべき戒律を仏前に誓う儀式の行われる厳粛
な場所。労役や税金を逃れたいばかりに仏門に入ろうとする人間を排除するべく、
戒壇で正式に受戒を受けた僧侶には二文字の戒名が与えられました。ちなみに東
大寺戒壇堂での初の受戒者は聖武天皇で、戒名は「勝満」だったそうです。

今回は同じ奈良にある史跡を描いた作品をご紹介します。

須田剋太『地獄谷線刻仏』
http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/yo/A2-86-036.html

かつて聖人が住んでいたとされることから「聖人窟」とも呼ばれるここの壁に刻
まれた仏の姿からは、時を越えて強い祈りの念のようなものが伝わってきます。
一方で、最寄りのバス停から徒歩1時間以上もかかるこの場所には、よほどの奈
良通でないと、なかなか足が向かわないかもしれません。

国と仏師が一体となり、今に伝わる多くの名品が生み出された古都・奈良。大仏
だけではなく、ひとつでも多くの価値ある作品に出会いたいものです。

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