2010-03-25日本美術そうだったのか通信
『日本美術そうだったのか通信』Vol.213 査定の極意

2010/4/25発行

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もくじ
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・ご挨拶
・社長メッセコーナー:千秋のそうだったのかニュース
・カタログ23号「春」よりご紹介 ~俳人・中村草田男~
・ネットで愉しむ秋華洞

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■□■ ご挨拶 □■□■□■□■□■□■

 連日舞い込む査定依頼のメールやお手紙。先日も広重の浮世絵が持ち込まれま
した。

 私が作品の情報をノートに書き込んでいると、近くに座っていた会長がひょい
と覗き込んでひと言

「あぁ、これはだめやな~」

 なんでわかるんですか?と尋ねた私に会長は

「いい物は、もっと惚れ惚れするもんや」

 そう言いました。

 初刷りの浮世絵というのは、細部にわたって細かい色分けがされており、その
繊細さ、美しさは誰が見ても明らかです。もちろん、正確に査定をするにはそれ
以上の知識が必要となりますが、「惚れ惚れする」という直感めいた感覚を会長
も大事にしているのだなぁ、とあらためて感じさせられました。

さて、今回から弊社社長・田中千秋のコーナーが復活いたしました。

社長コメント
「メルマガではお久しぶりです。秋華洞の田中千秋です。メルマガでも、今回か
らまた自分の声を直接お届けしたいと思います。」

そんな訳で、今回も内容もりだくさんでお届けしておりますので、どうぞ最後ま
でお付き合いください。

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■□ 社長メッセコーナー:千秋のそうだったのかニュース ■□

 こんなに凄い若冲は、初めて見ました。黒い若冲。画題は、鶏。

 國華、という岡倉天心(「日本画」の理念的創始者。東京芸大の初代学長かつ院
展の生みの親。)の始めた権威ある美術誌の開催する美術鑑賞会での一幕。

 ある著名コレクターの所蔵品を主として鑑賞する機会をいただきました。中国美
術、現代アートの超一級品のコレクションで有名なのですが、もちろん日本美術
もお集めになっているよう。若冲は、数年前に東京国立博物館などで行われた
「プライスコレクション展」や、昨年同館で行われた皇室の名宝展の『動植綵絵』
などでもおなじみです。動植綵絵は、極彩色で緻密に描かれており驚異的なエネ
ルギーを放つ作品ですが、まあまず同等のものは市場に出てくることはありませ
ん。むしろ世に時々出てくるのは水墨で描いた、動物や、植物、、動物、風物な
どを描いた洒落たもの。

 私は動植綵絵は、個人の好き嫌いという次元を超えた、ニンゲン総意による神へ
の供物というレベルのものと思いますので、コレクションという観点からすると
「参考作」に過ぎない、と思うので、むしろ、水墨の略筆の妙味に若冲の真骨頂
があると考えています。

 その観点から見ると、この若冲(画像は見せられません)は、水墨によるもの
として最高傑作といってもいいかもしれない。お金をどれだけ出したって、出会
えない人は絶対に出会えない類の作品でした。同行した鑑賞者は「これだけの作
品になると、持つ人にも資格がいるよね」とつぶやきました。たしかに、そう思
います。

 若冲の水墨の恐ろしいところは、あのスピード感と細部の構成の緻密さです。そ
して人智を超えた造形感覚。あの生々しさは、いったい何なのでしょうか。

秋華洞でも、いくつか扱いましたが、カタログ掲載を経ずして売れてしまいまし
た。しかし、また、いつかみなさんにも披露出来る日が来ると思います。

田中千秋社長のブログ『丁稚ログ』
http://www.aojc.co.jp/blog/

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■□ カタログ23号「春」よりご紹介 ~俳人・中村草田男~ ■□

 四月も気付けばもう下旬。そろそろ本腰を入れて次号のカタログに取り組まね
ばなりません。しかし、まだまだカタログ23号掲載作品にもよい物が残っており
ますので、どうぞお見逃しなく。

 その中から、今回は作品No.29、30の中村草田男『萬緑の中や…』『降る雪や…』
をご紹介します。中国の福建省で生まれた彼は、4才で本籍のある愛媛県に戻る
と、小学校時代を東京で、中学~高校時代を松山で過ごします。多感な時期に変
動する都会の景色と、のどかな郷里の地を見つめた経験は、のちに彼が生み出す
作品に大きな影響をあたえたにちがいありません。

大正14年に東京帝国大学文学部独文科に入学すると、中村は高浜虚子に師事し俳
句を学ぶようになりました。人間の内面を映し出す現代俳句を得意とした彼は
“人間探求派”と称され、俳誌『万緑』を創刊するなど、昭和初期の歌壇におい
て躍進的な活動を続けました。

カタログに掲載している作品『降る雪や 明治は遠く なりにけり』は、彼が母
校である青南小学校を訪れた時に詠んだ一句。時代の移ろいゆく様に哀愁を込め
たこの歌は、彼の代表作となりました。

もう一点『萬緑の 中や吾子の歯 生え初むる』は、上の句とは対称的に生命力
あふれる萌芽と子供の歯の生える様子を歌った作品。『萬緑』は中村が初めて季
語に用いたのだそうです。

薄墨でさらさらと描かれた句は、見ているだけで心洗われる気がします。

カタログ会員申込み または 今号のみ請求の窓口は↓まで。
https://www.syukado.jp/jp/support/catalog/mpmailec/form.cgi 

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■□■ ネットで愉しむ秋華洞 ■□■

□ 角田恵理子 『入門 日本語の くずし字が読める本』
これを読むと、掛軸の楽しみ方が一段と広がります

http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/fude/A100-007.html

□ 大宮智栄 『善光寺上人御歌』
第119世善光寺大本願法主、その肩書きとは裏腹に女性ならではの繊細さで詠う

http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/fude/A09-0566.html

□ 亀田鵬斉  『七行書』
酒がのめる、酒がのめる、酒がのめるぞ~♪

http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/fude/A09-0651.html

□ 吉村忠夫 『献寿』
構図、線描、色づかい。見れば見るほどに味わいの滲む逸品

http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/kake/A09-0617.html

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■□■ご感想をお待ちしております!■□■

最後までお読みいただきありがとうございました。
秋華洞メルマガ編集担当、林久美子がお送りいたしました。

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対応致します。

弊社は50年にわたり日本美術商として活躍した代表・田中自知郎が長男・
田中千秋と共に、平成15年に「有限会社アートオフィスJC」として設立され、
その後平成18年に「株式会社秋華洞」と商号変更致しました。

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