2007-12-14日本美術そうだったのか通信
Vol.144 富田渓仙 『月ヶ瀬早春図』

□■『日本美術そうだったのか通信』Vol.144 富田渓仙『月ヶ瀬早春図』■□

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もくじ
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・ご挨拶
・これが絶品!カタログ12
・展覧会千本ノック〜10本目〜
・ネットで愉しむ秋華洞<新着作品>
・お知らせ

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■□■ご挨拶■□■

銀座通りを夜歩けば素敵なクリスマスのイルミネーションと忘年会に向かう
人々で今年も残り少なくなったことを感じます。

皆様も師走に向けて忙しくなってきたのではないでしょうか?

秋華洞もおかげさまでカタログ12の注文が毎日ぞくぞく!
特に今回は皆様の注文が早く、作品が重なってしまったお客様には大変申し
訳ない気持ちで一杯です。すべてが1点限りの作品ですので、どうぞお早
いご用命をお待ちしております。

また、すでにご用命下さった皆様、ご連絡下さった皆様、誠にありがとうご
ざいました。スタッフ一同心より感謝申し上げます。

まだカタログを見ていない方は是非拝見してみてください。

カタログ請求はこちら→https://www.syukado.jp/jp/support/catalog/index.cgi

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■□■ これが絶品!カタログ12 ■□■

カタログ作品番号8、富田渓仙「月ヶ瀬早春図」について本日御紹介します。

大正から昭和にかけて、「新南画」という動きがありました。西洋の印象派
は、アカデミズムの理論に囚われずそれに背を向け、画家独自の目で世界を
捉えた絵画の運動です。日本においてこの姿勢に当たるものこそ、南画であ
る!と、今村紫紅が唱えて以降、爆発的に広がっていったのがこうした新し
い南画、「新南画」です。

それまでの日本の絵は何かと「描き方」があり、美術学校なども開設された
近代以降、それは「理論」になっていきます。そうではなく、画家の自由な
目で、日々の悲喜交々を紙に書いていく文人画の営み、この時代に西洋の印
象派という運動にダブってきたのです。私は“画家”じゃない、私は私だ!
という意識でしょうか。洋画家が、紙と墨の日本画も嗜み、時にはそちらに
方向転換までしてしまうというのも、こうした動きが背景にあります。

さて弊社カタログ12号で、この「新南画」の好い作が、富田渓仙の「月ヶ瀬
早春図」です。近畿圏の方には馴染み深い、梅の名所の月ヶ瀬を俯瞰的に描
いた本作。

構図は遙かな山水図のようですが、其処此処に見える旅のスケッチ的な風俗
描写が何とも愛らしいです!色調も、早春の冷えた空気の中にほんのり梅が
映えるような、穏やかなトーンでまとめられ、緑のグラデーションの空にぽ
っかり浮かべた小さな三日月が、なんともニクイ演出。なんと自由な絵!新
南画に挑んだ画家達は、一人の人間として、絵を描くことの喜びを画面に刻
みつけます。そして、世を見つめる渓仙のまなざしは、とても優しい。

この絵は、是非とも実際に見に来ていただきたいものです。
現在秋華洞で展示中ですので、ご来店お待ちしております。

また、カタログでもご覧になれますよ。

カタログ請求はこちら→https://www.syukado.jp/jp/support/catalog/index.cgi

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■□■ 展覧会千本ノック ■□■

今週は10本目!

埼玉県立近代美術館 開館25周年記念展「田園賛歌-近代絵画に見る自然と
人間」今週末まで! http://www.momas.jp/3.htm

「この展覧会は、山梨県立美術館秘蔵のミレー《落ち穂拾い、夏》、埼玉県
立近代美術館のモネ《ジヴェルニーの積みわら、夕日》の二つの名作を核と
して構想されました。」と、美術館のHPにあるように、印象派絵画と日本
の近代絵画を、「農耕主題」というテーマで展示した展覧会です。埼玉近美
は、冬枯れの美しい北浦和公園にあって、シーズン的にもピッタリ。

会場を入ってすぐに、ミレーの「落ち穂拾い、夏」を中心とする部屋があり、
そこに和田英作による、1903年の白馬会展で話題となった同作の模写も大き
く展示されています。西洋の近代絵画と、その影響を強く受けた黎明期の日
本近代絵画という、展覧会の構成のおおもとを提示するものですが、東西の
意識を比較してみるとなかなか面白いものです。

例えば、日本の絵は、ススキや穂は、線で一本一本描きます。しかし、印象
派は“外光”を捉えるわけで、穂の束も、ひとつの物体として、グラデーシ
ョンで色の塊で描いている。そうした、文化から来る意識の違いを比べると
なかなか面白いものです。日本の洋画家でも、あーこれは明らかに東洋的な
意識だなー!という所を強く感じたのが、久米桂一郎の「秋景」(久米美術
館)です。線描がはっきりしていて、月なら月、地面なら地面というような、
構成要素が非常にハッキリしています。隣にもう一品、久米の風景画がある
のですが、こちらは全くの西洋印象派風。線描なしです。

線と言えば、一番メインで取り上げられているミレーの「落ち穂拾い、夏」、
これが意外と同時代の他の作品と違って、衣の輪郭線を描いていたりするの
で、新たな発見でした。ほかに見所は、アルフレッド・シスレー「森のはず
れ、6月」(サントリーミュージアム天保山)が、とてもいい作品です。薄塗
りの線をサササっと、筆の勢いがノリノリです。他に、村上華岳の「山科春
景」(茨城県立近代美術館)の、なんとも言えない幽玄性は、神秘という他あ
りません。凄い作品です。

北浦和公園も綺麗です。ぜひとも足を運んで見て下さい!

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■□■ネットで愉しむ秋華洞 〜新着作品〜■□■

久しぶりにアップしました。

□小野竹喬『秋景帰漁図』
竹内栖鳳に師事した、小野竹喬の作品です。

http://www.syukado.jp/jp/search/detail/artist/jp_b/ONO_CHIKKYO/A07-0698.html

□ 山口蓬春 『椿』
込み入った画面ではないが、花弁の緊密な重なり、蕊の控えめな金彩が装飾
性を生んでおり、マットな色調と単純化された形、構図が明るいモダンを感
じさせる作品です。

http://www.syukado.jp/jp/search/detail/artist/jp_b/YAMAGUCHI_HOSHUN/A07-0581.html

□ 橋本静水 『投網』
全面に広がる網模様に面白さがあり、飛び上がる鯉は鱗のきらめき、ぬめ
りまでリアルに描写されています。

http://www.syukado.jp/jp/search/detail/artist/jp_b/HASHIMOTO_SEISUI/A07-0550.html

□清水公照 『喫茶去』。
「喫茶去」とは禅語で、もとは相手を叱咤する言葉であるが、後には「茶で
も飲みに来い」との意に解され、日常即仏法の境地を示す語だそうですよ。

http://www.syukado.jp/jp/search/detail/artist/kohitsu/SHIMIZU_KOSHO/A07-0537.html

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■□■お知らせ■□■

誠に勝手ながら、弊社は12月29日から来年1月6日まで年末年始休業とさせて
いただきます。その間でも、メール、FAXは受け付けますが、お返事は、
原則として1月7日以降になります。

なにとぞ御了承下さいませ。

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■□■ご感想をお待ちしております!■□■

最後までお読みいただき有難うございました。
秋華洞メルマガ編集担当、桑田郁子、中島洋平がお送りいたしました。

みなさまからの感想をお待ちしています。
このメールへの返信、あるいは「お問い合わせフォーム」、あるいはカタロ
グ添付のハガキ、FAX連絡用紙、お電話などでも結構です。

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次号もお楽しみに!

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その後平成18年に「株式会社秋華洞」と商号変更致しました。

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