2005-02-26日本美術そうだったのか通信
Vol.37 <日本美術そうだったのか通信>

□■□■  「日本美術そうだったのか通信」 Vol.37
発行 有限会社アートオフィスJC・秋華洞
http://aojc.co.jp/  アートオフィスJC
http://www.syukado.jp/ おんらいんぎゃらりい秋華洞
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<本マガジンの説明>
日本美術の鑑賞界のホットニュース、古今国内東西の作家のエピソード、美術業界
裏話など、日本美術をより楽しむための情報をお届けします。
アートオフィスJC・秋華洞提供。
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ゴホ。
あ、アートオフィスJC 田中千秋です。

済みません、先週はメールマガジンお休みしてしまいました。ブログ
http://blog.livedoor.jp/syukado/
をご覧頂いている方には、既にお知らせしましたが、インフルエンザで寝込
んでしまいました。
私だけは!かからない、と信じて30有余年を過ごして参りましたのに、本年
はウイルスの猛威にあえなく撃沈。結局4日間は熱が下がりませんでした。

はァー、今年はワクチン打っておこうかな、と思ったりしております。

☆☆★☆☆★☆

ミニミニニュース
「新人紹介」

実は、今月から私どもでは新入社員を一名迎えました。
猪山直子さんです。

お父さんは警官をやっていらしている、ということで、ご本人もそこいらの
婦人警官など目ではないエネルギーを静かに蓄えている様子がありありとみ
え、私はケー犯罪法でいつ逮捕されないかとヒヤヒヤ・・
ではご本人どうぞ。

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はじめまして。2/14に入社いたしました猪山直子と申します。今年のバレン
タインは、「義理チョコ」ならぬ「よろしくお願いしますチョコ」を贈ると
いう、きわめて珍しい体験をさせていただきました。

まずはご挨拶代わりに、簡単な自己紹介をさせていただきますと…。前職は
広告業界におりました。思うところあり、35歳にしてまったく畑違いの日本
美術の世界に足を踏み入れましたが、機会があれば、転身の理由等について
もお話しさせていただきたいと思います。まずはお見知りおきのほどを!ど
うぞよろしくお願いいたします。

**日本美術は初心者**
美術館巡りや絵画鑑賞は大好きですが、その多くが西洋の作品でしたし、観
るといっても素人の趣味です。まして日本の美術についてはほとんど不知で
して、このメルマガを読んでくださっているほとんどの方が私よりお詳しい
方なのではないかと思います。これからじっくり勉強していくとともに、サ
イトやメルマガでは日本美術に親しみのない方にも分かりやすい内容をお届
けできればと思っています。

***運動なさっていらっしゃいますか?***
絵画や写真、映画鑑賞と同じくらい最近はまっているのが、水泳です。冬場
はどうしても運動不足になりがちですよね。健康な精神は健康な肉体に宿る!
をモットーに、できるかぎりプールに足を運んでいます。今日も仕事帰りに、
ひとっ風呂ならぬひと泳ぎして帰ろうと思っています。

こんな私ですが、これからお付き合いのほど、どうぞよろしくお願いいたし
ます。

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ちなみに本人の画像。もっとよく撮れた写真が出来たら、あらためて紹介し
ます。
http://blog.livedoor.jp/syukado/archives/14433894.html
上記「不知」という聞き慣れない言葉、なんだこれ?と聞きましたら、ちゃ
んとあるそうです。確かに辞書には載っている。普通この字句は、「よみび
としらず(不知)」とか、「不知火海(しらぬいかい)」とか、ひっくり返
して読むものかと思いますが、まあいいか。

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さて、今日は、いつもお届けしている読み物の替わりに、新規入荷情報をお
届けします。・・・て、よくあるお店のメールマガジン風ですが、ウチの場
合こういう構成が却って珍しいので、まあソレナリにニュースバリューがあ
るかナ、と思います。名品の目白押しですので、是非ご覧下さい。

入荷→撮影→ホームページへのアップロード・・・の時間が異様に長くかかっ
てしまっておりまして、実はまだ商品はあるのですが、順次ご紹介していく
と言うことで。。。

■川合玉堂『清潤(せいかん)』
http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/402mt1y0b8ku9r16ab

どーん、と最初に玉堂の名品です。落款は、こういうものを「くちどうらっ
かん」と称しまして、昭和20-28年頃、すなわち玉堂の最も充実した時期の
作品です。この時期、玉堂は奥多摩・御岳に腰を据え、力作を次々発表しま
す。
本作は、川の力強い流れに小禽(ことり)一羽を配して、春らしい、爽やか
な作品です。いわゆる「横物」で、ボリューム感があります。有名な「鵜飼」
の図で、主人公が人間と入れ替わって、「鳥」になった図、という感じです
ね。

■児玉希望「花光泉聲」
かこうせんせい、と読むのでしょうか。その題名の通り、光溢れ、水音の聞
こえる豪華な作品です。
滝壺に桜の枝を配し、花びらがひらりひらりと舞い降りる、まさに希望らし
い、色の濃い、華やかな図になっています。
http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/402mu1y0b8ku9r16ab

作者プロフィールにあるとおり、希望は、玉堂の直弟子で、そのまた弟子が
奥田元宋です。玉堂-希望-元宋の系譜は、玉堂をめぐる座談会やら、展覧会
企画やらでよく取り上げられます。三者とも日本の風景を扱いますが、後者
ほどより華やかな色遣いになっていきますね。

■田中以知庵「夏野」
水墨調のさらりとしたものを割合よく見かけるので、こうした(アヤシク)
色のついたものは比較的珍しいのではないでしょうか。「以知庵」と言って
もご存じない方も多いでしょうが、彼は、御舟との交流があるかと思えば、
禅の修行をしたり、そうかと思えば、本メルマガで話題の「小室翠雲」の南
画展に出品してみたり、と異色の作家です。
本作は、何か独特のセンチメンタリズムに溢れていて、面白いですね。ちな
みに、蝶々の「黄色」にはチジミがあり、(絵の具が縮んで割れていま
す。)全体に少しシミが出ています。
http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/402mv1y0b8ku9r16ab

■杉山寧「香魚」
こうぎょ、と呼んでいいのですが、要するに、ご覧の通り、鮎(あゆ)です。

どうです、おいしそうでしょう?

http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/402mw1y0b8ku9r16ab

染め付けの皿に、生なのでしょうか、鮎がまるごと、二匹、頭を互い違いに
寝かされて、それに呼応するように無花果が二房、床に転がされています。

杉山といえば、平山(郁夫)、加山(又造)、東山(魁偉)、高山(辰雄)
と並んで現代日本画「五山」の一角を占め、非常に的確な形の把握と重厚な
構成で有名であり、平成の日本画家では随一の実力を誇る方ですが、悠久の
静寂を感じさせるスケールの多い作品が印象に残る一方で、本作のような軽
快な胸のすく一品も有るのだな、と感じさせます。普段着の杉山、とでも言っ
たらよいでしょうか。

しかし、やっぱり、上手いです。

■川端龍子「蘭鉢」
上手い、といえば、龍子を忘れてはいけません。本当は、上手い、というよ
り、華麗。

昨年、東京国立近代美術館を大入り満員にした「琳派展」で、この龍子の黒
字に金!(普通は金地に黒)の見事な屏風絵「草炎」が近代の「琳派」とし
て紹介されていましたが、大胆鮮やかな筆さばきで、龍子は豪壮な作品を数
多く残しました。

そして、本作。
http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/402mx1y0b8ku9r16ab
いわゆる「会場芸術」ばかりではなくて、当然、こうした一般向けの小品も
数多く描いています。皿に盛った蘭が生き生きしていて、反り返った葉っぱ
にひどくリアリティがあって、流石龍子、と思わせる筆致です。

参考:琳派展(すでに会期は終了)
http://www.tokyo-np.co.jp/event/rimpa/

■岡信孝「淡海」
http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/402mz1y0b8ku9r16ab
そして、この岡信孝先生は川端龍子の孫にあたります。「先生」とあえて呼
んだのは現存作家の為です。この先生は温厚な紳士と聞いています(父とゴ
ルフでご一緒するとのこと)。優しい色遣いで風物を描く先生ですが、こう
して並べてみると、少し、お祖父さんの龍子を、彷彿とさせませんか?

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と、いうことで、今回は小室翠雲の連続読み物はお休みします。インフルエ
ンザからたちなおり、猪山がもう少し仕事を覚えると期待される(?)来週
には、再開したいと思います。

本日は、最後までお読み頂いて有り難うございました。
また来週!

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うぼん)を専門とし、その他、彫刻、工芸品、茶道具など、多岐にわたって
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弊社は平成15年に設立、平成16年に開店致しましたが、50年近く美術業界
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