Q. 真贋はどうやって見分けるのですか?

A. 真贋査定は非常に経験を要する仕事であって、ひとくちにどの様な根拠で真贋がいえるのかを述べるのは困難ですが、一方で、真贋を巡る美術品取引の流通ルールがありますのでご紹介します。

■ 近代絵画・工芸品・彫刻

作品そのものの他に、本物として流通するための要件となる点について紹介します。

共箱
近代日本画の掛軸、工芸品、彫刻の場合、共箱と呼ばれる、作者本人の書いた箱書きがあることが真筆として流通するひとつの要件となっています。本人が書かずに、弟子、子孫などが書いている場合もありますが、この場合、やや信頼性が落ちることがあります。
共シール
多くは近代日本画の額装の場合、額ウラに、「共シール」と呼ばれる、作者本人の書いたシールが貼ってある事が通例となっています。
サイン、落款、印
画中にサイン(洋画)、落款・印(日本画)が、作者本人に間違いないものが描かれている事は重要な要件です。
鑑定証
近代絵画(洋画・日本画)について、一部の有名作家については、鑑定証を発行する権威のある機関(人)があります(鑑定人・機関紹介はこちら)。ただし、「所定鑑定人」として認知されていない人の発行した鑑定証があっても、売買時には役に立ちませんので注意が必要です。

近代美術品に関しては、共箱、共シール、サイン、落款、鑑定証のいずれか、あるいは複数の要素があれば「真筆」としての流通性が担保されることになります(共箱やサインなどの要件と絵が十分に真作らしさがあれば必ずしも流通時に鑑定証は必要ありませんが、やや判断が難しい場合、鑑定書は「通行手形」として必要になってきます)。

※当店展示品は、作品詳細に、共箱、共シール、鑑定証の添付のあるものについて明記しております。

■ 古美術

江戸期以前の作品については、真贋について、流通上有効な鑑定証を発行する機関がありません。これは作品じたいの「見た目」一本の価値判定ということになります。お客様の「眼」とお客様が古美術商の信頼性を見分ける「眼」だけが頼りになる世界とも言えます。

共箱や鑑定証があったとしても、その「贋物」もありえますから、もっともらしい添付物があったとしても、共箱、鑑定証を見分ける眼がなければ、「絶対大丈夫」とは言えません。結局、信頼に足り、目の利く美術商を選ばれて、相談されることが売買には大事な要素になります。

私どもとしては、信頼のおける美術商としてご相談頂けるよう日々研鑽しております。