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2015年11月20日
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Vol.365 長沢芦雪、欠けた印の謎と「蛸之図」

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■今週の「そうだったのか!」━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥.........

こんにちは。年末も間近、めっきり寒くなってまいりました。
お忙しいこの時期ですが、美術品を鑑賞しながらリフレッシュしながら
冬を楽しみたいですね!

さて皆様、新着作品はご覧いただけていますでしょうか。
http://www.syukado.jp/list/

本日はその新着から長沢芦雪《蛸図》のご紹介と、
http://www.syukado.jp/list/work/002348.html
芦雪の印の「そうだったのか」をお送りします。

長沢芦雪《蛸之図》
路傍の赤石に見紛うほど陸に溶け込んだ「蛸」と、紫雲英(げんげ)の花。
陸に上った蛸は、漁師の落としていったものでしょうか、それとも
蛸は芋を好物として、夜な夜な陸に上がっては畑から芋や大根を盗む
という言い伝えがあるそうですので、本作の蛸も芋盗みの道中かもしれません。
あわや可憐な紫雲英の花を踏み潰すかの一時。
奇っ怪な蛸と仏の蓮華を連想させる清廉な花、「聖なるもの」「俗なるもの」
との組み合わせが珍妙で、なんとも可笑しみを誘う一幅。是非御笑覧ください。

長沢芦雪といえば...、江戸時代中期に活躍した絵師であり、円山応挙の高弟。
名は「政勝」「魚」。字は「氷計」。宝暦4(1754)年、丹波篠山に生まれました。
応挙の弟子となった頃ははっきりとしていないのですが、25歳の頃には既に応挙に
入門しており、入門前後に「長沢芦雪」を名乗り始めたようです。
自由奔放な筆致と奇抜な構図を駆使して、愛らしい動物からグロテスク表現まで
幅広い画風が魅力的で、今日では"奇想の画家"としても知られる人気絵師です。

「芦雪」の号は、中国の宋代の禅僧、宏智正覚禅師(1091-1157)の詩偈、
「芦花両岸雪 煙水一江秋」の部分に由来すると考えられています。
「芦花両岸の雪」とは...、河辺に咲く真白な芦の花、川の両岸に積もる雪。
どちらとも見分けがつかない程の一面の白...という意味合いでしょうか。

ところで、芦雪と名乗り始めてから使われた印として最もよく知られているのは、
六角形の亀甲の縁取りの中に「魚」を配したもの。
この六角形は氷の象徴。《蛸之図》にも抜群の存在感で押印されています。

この印には、幕末に発刊された安西雲煙の著作『近世名家書画談』(二編巻ニ)
「芦雪魚の印の事」などの資料に、こんなエピソードが伝わっています。

芦雪が応挙の門人となって、毎朝淀より京都四条の応挙宅へ通っていた時、
ある朝寒さが甚だしく通路の小川が凍っていて、魚が氷の中に閉じ込められていました。
浮かび泳ぐことが出来ず苦しげな様子を憐れんで助けようとするも、
氷が邪魔をしてどうしようもなく、そのままにして応挙の元へ向かいます。
その晩の帰り道、朝と変わって氷の溶けた中を自由の身となった魚が喜び泳いでいました。
翌日、芦雪がこの出来事を応挙に語ったところ、応挙はその面白さに、
「画業もそういったものだ。師に従って学ぶ苦しい修行時代も、次第に氷が溶けるように、
いずれ画の自由を得られたと思える所となる。」と芦雪に諭し、
その言葉を悟った盧雪は、氷の中に魚を配した印を生涯使い続けたといいます。

原本でお読みになりたい方は以下からどうぞ
(近代デジタルライブラリー より 【コマ番号78】)
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/850397/50?viewMode=

さらに、《蛸之図》に押された印にご注目。縁部分の右肩が大きく欠けています。
この氷の縁取りに欠けが見られるようになったのは、寛政四年(1792)以降、
芦雪が不惑の年を迎える頃。
応挙に三度破門された...などと俗説が伝わっているのもこの辺りのことですので、
印が意図的に割られたように見えることからも、応挙との決別の証に自ら割った
と言われることがあります。
故意に割られたのか真相は不明ですが、師応挙の囲いから解き放たれ、
自由な作風を追い求めようとする芦雪の決意の現れだと思うと、
より芦雪の心境に迫れる気がしますね。

氷から抜け出し、水中を自在に泳ぐ「魚」。
さらに、水中までも抜け出して、陸にまで進出せんとする奇っ怪な「蛸」。
一ところに留まらず変化を重ねていく画風と、型破りで奔放な「芦雪」の姿を
印象づける秀逸なモチーフに思えてきませんか?
印にまつわるエピソードとともに鑑賞すると、また違った作品の楽しみ方を発見できます。

実物をご覧になりたい方は是非、銀座の秋華洞ぎゃらりいにいらしてくださいませ。


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2015年11月20日 12:12