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2005年6月26日
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Vol.53 愚庵その1

□■□■ 「日本美術そうだったのか通信」 Vol.53 発行 有限会社アートオフィスJC・秋華洞 http://aojc.co.jp/  アートオフィスJC http://www.syukado.jp/ おんらいんぎゃらりい秋華洞 現在発行部数4,180通(独自配信1,682 まぐまぐ 2,457 melma!41) ------------------------------------------------------------ <本マガジンの説明> 日本美術の鑑賞界のホットニュース、古今国内東西の作家のエピソード、美術業界 裏話など、日本美術をより楽しむための情報をお届けします。 アートオフィスJC・秋華洞提供。 ------------------------------------------------------------ いつもお読みいただきありがとうございます。 アートオフィスJC・秋華洞の田中千秋です。 先週、大得意で?私どもを取り上げていただいたことをご紹介した、月刊美 術さんの7月号ですが、この号の目玉対談である、聖路加看護大学の日野原 重明先生と、高山辰雄先生の対談が、面白かったです。 というのは、 (以下月刊美術7月号29ページから引用) --------------------- 日野原「科学では、先人がつくりあげたものの上に後世の人が乗って、進歩 を上積みし、不確実なものを確実なものにしていっているわけですが、芸術 は違う。  人間の存在の根源に迫るということは、生まれたままの状態、いかにオリ ジナルの状態に近づくか、ということでもあるわけでしょう。それは、だん だんと進歩するものではない。」 高山「そうですねえ・・・。芸術は発展していないのかもしれない。大切な のは根源にいかに迫るかでしょうから。」 --------------------- いささか文脈はずれるかもしれませんが、私がコンピューター関連の仕事を経 て、この仕事を父と始めたのにも、「普遍的なもの、根源的なものにつながる 仕事がやりたい」ということが動機の一つにありました。 徒らに進歩を追うのでなく、掘り下げることのできる仕事として、美術商、古 美術商は、面白い仕事じゃないかと思います。 まあ、私のことはさておいて、今を生きる美術家も、「進んでいく」と、 いうよりも根源を見ていく、という方向を明快にすることが大事なように思 います。 というのは・・・ どちらかというと、物故有名作家の作品を扱うことの多い弊社ですが、やは り自分と同世代や、下の世代の作家が何をしているかは気になるところなの で、時々、雑誌などでチェックしています。 どうしても気になるのは、なんとはなしに個に閉じているようなモチーフの 作品が多いような気がすることです。 あるいは、ヘンに「新しいテーマ」を持ってくる行き方。死体とか、腐敗と か、セックスとかね。 ドロドロしたものでヒトを驚かして、耳目を集めるという方法は、よほど個 人の根源的なものと結びついていないと、ポーズだけで終わってしまうよう に思います。(もう、60・70年代的なものがいまさら出てきても、飽き ました。) そこで。 古典に向き合って、それを本気で盗む、というやり方は、今までも、これか らも、非常に有効であるだろう、とは思います。それが「根源」に近づくこと になるかどうか、と、テツガク的につきつめると、わかりませんが、しかし、 古画からどんどん盗み、そして事物の描写(写生)を積み重ねることで、自分 のスタイルを築く、ということは、いつになっても有効な手段ではないかと思 います。これは、音楽、小説、映画、演劇なんにでも通ずる。 以前紹介した村越伸さんの自伝で、加山又造に、古美術の名品を見せて、そ の刺激で加山が新しいモチーフを開発したくだりが出てきたと思います。 古美術の名品を選ぶ眼と、さらに作家に模写させることの出来る具体的な実力 を伴なった美術商が、現代のもっとも優れた芸術家活動の触媒を担っていたこ とがうかがえます。 その意味では、画商というものの見識が時代を作っていく面もあると思います。 さて、私は、現代の美術家の修行の事情は良くわかりませんが、美術大学の 「カリキュラム」で、古典を学ぶ機会は当然あるのでしょう。ですけれども、 その精神をファッションでなく(まファッションでもいいのかもしれないがツ マラナイ)盗む努力が必要なんじゃないか、と思います。 今頑張っている現代アートの人たちは、いわずもがなで其れぞれやっておら れるとは思います。たとえば日本美術の知識は私などより百倍は詳しいだろ う村上隆など、当然そんなことは考えているでしょう。 彼の作品は扱いたい、とは思わないのですが、エネルギーはすごい、と感じる し、方法論はなるほど、と思います。 でも、もっと古典を血肉まで取り込んで、表現を研ぎ澄ましていく人がいない と、日本美術の「今後」は面白くない。 進む、じゃなくて盗む。遠い過去から盗む。そして掘る。自分の現実を掘る。 いずれにしましても、美術の根本、または日本美術の根本を、掘り、紹介し、 さらには育てていけるような仕事ができるように、なりたいものです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今週の入荷情報と、特集 -------------------------------------------------------------------- ■天田愚庵『童謡三首・大宮人云々』(あまだぐあん・おおみやびと・・・) http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/402nvgz0d8ra9jewpc 実は、以前にもご紹介しておりました。再びの登場です。 http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/402nwgz0d8ra9jewpc 済みません!このときは、調査不足で、歌の意味がよくわかっておりません でした。 愚庵の「童謡」とは、いわゆる子供の歌、ではありません。実は、時事問題 を扱う「時事詠」なのです。 「童謡」とは、実は次のような意味があるのです。 「上代歌謡の一種。社会的、政治的な風刺や予言を裏に含んだ、作者不明の はやり歌。神が人、特に子供の口を借りて歌わせるものと考えられていた。」 (大辞泉より) この意味で、あえて愚庵は時事を批評する歌を「童謡」と呼んでいたのでしょ う。 さて、この書にしたためてある歌は、次の三首です。(やっと調べがつきまし た) 「大宮人いさ言問はむ大君は今朝の朝御食聞し食しゝや」 「大君のみ心思へはみ民我生けりともなし御心思へは」 「此頃の事のしけきにまへつきみ誰か御前に仕へまつらふ」 これらの歌は戊戌七月、すなわち明治三一年に詠まれたことがわかっていま す。1898年、愚庵四四歳、明治三七年に五〇歳で亡くなる六年前になります。 この年、六月、日本最初の政党内閣が生まれましたが、日清戦争が終わって 国家経営が多難な時期、薩長の藩閥政府と在野野党が対立が際立つ中で、こ の七月にできた大隈重信内閣に、大いなる不信感を愚庵がいだいていたこと がわかります。 三首とも、要するに天皇のご意志が尊重されず、与党憲政党の都合が優先さ れる、国政の混乱ぶりに、天皇はどのように思っていらっしゃるか案じられ る、という旨がうかがえます。 三首めは、やや説明を要するかもしれません。 しけきに・・(世間を騒がしていること) まへつきみ・・(卿) で、歌の内容は、 「このごろ政治はつまらないことで騒がしいが、天皇のご意志を本当に尊重 する臣下はいないのか」 という位の意味だと思います。 これから特集する「愚庵」が、晩年も政治に深い関心を持ち続けて、世を嘆 く歌を作っていたことがわかります。 さて、グアンとは何者か。今週の特集に続きます。 ※長尾雨山の箱書きについて 万葉調の歌を詠んで、正岡子規に多大な影響を与えた愚庵ですが、一方で、 この作品、箱書きは、子規の友人である夏目漱石に漢文を教えたこともある、 長尾雨山が書いています。雨山は中国絵画のおおいなる権威者ですが、何故 この箱を書いたのかは謎です。断れない間柄の人に頼まれたのでしょう。し かし、そのことで、この作品の信憑性と格が上がっていることは間違いあり ません。 ☆作品は弊社画廊で御覧になれます。作品はそのもの一点限りですので、購 入をご希望される方はお早めにご連絡下さい。 <弊社開廊時間>  平日 10:00-18:00  土曜 10:00-18:00 (ただし土曜日は都合により閉める場合がありますので、事前にご連絡を。) TEL 03-3569-3620 or 03-3569-3990 東京都中央区銀座6-4-8 曽根ビル7F 弊社へのアクセス http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/402nxgz0d8ra9jewpc ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ そして、特集・・。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 天田愚庵 その1 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 清水次郎長。 山岡鉄舟。 正岡子規。 陸羯南(くつがつなん)。 これらの人々の間に「線」を引くと、それらの真ん中に「愚庵」がいます。 そして、 藩士 兵士 写真家 次郎長の養子 新聞社員 禅坊主 歌人 彼がたどった肩書き、身分の数々です。 さらに、彼の人生を立てに貫く願いは 「父母捜し」 でありました。 彼自身は、さして大きく名前が残った人物、ということではありませんが、綺 羅星のごとく名前を残した数々の人物に、深く尊敬を得ながら、僧侶、そして 歌詠みとして生涯を閉じました。 私がこの人に興味を持ったのは、もちろん、その作品を入手し「商品」として 手元に持っているためであるのですが、メルマガであえてテーマにしよう、と 思ったのは、伝説の中に浮かび上がってくる一つの人生の切実さが際立ってい たからです。 そして、司馬遼太郎の小説「坂の上の雲」前半の重要な登場人物、正岡子規と、 新聞社社長の陸羯南(くつがつなん)、さらに幕末三舟の一人、書家としても 名高い山岡鉄舟、さらには、いや本当に実在したのですねえと今回改めて確認 できた清水次郎長と深い関わりを持った、となれば興味の湧かないわけにはい かないのでありました。 さらに、上記に挙げた、経験した職業の多さ。それも気まぐれ、というよりは 「父母捜し」という切実さの縦糸で結ばれているのです。心ならずもいくつか の仕事境遇を経験した私としてもチト興味を持つところではあります。 ということで、今回はプロローグでした。これから、少しづつ、紹介していき たいと思います。 □□□□□□□□□□□□□□□□ 懸賞企画のお知らせ トントン懸賞 http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/402nygz0d8ra9jewpc 当店では、みなさまへの感謝の気持ちを込めて、懸賞企画をはじめる事にいた しました。 まずは、7月1日締め切りです。 実は、この懸賞、面白い仕組みとなっておりまして、ほぼ毎日、何かが当たり ます。というのも、これは「トントン懸賞」という妙な名前がついているので すが、いくつかのオンラインショップが共催する形になっていまして、毎日、 A賞として一万円、B賞としてそれぞれのショップが用意する賞品が当たりま す。懸賞とあわせてそれぞれのショップの個性豊かなメールマガジンをとるこ ともできます。 私どもでは、前田青邨のくびら大王像の複製木版画を賞品として用意しました。 縦横額装39x33cm/本紙21x15cm ・・・ほぼ色紙大です。私どもで販売すると すれば3万円位のものです。ごく簡単な、美術館のお土産的ランクのものです が、状態は綺麗ですし、軽く楽しめるものと思います。 ちょっと楽しいこの企画、ふるってご応募ください。他店の賞品も当たるはず なので、私も応募してしまいましたが、共催者には当たらないかな、やっぱり ・・・。 懸賞申し込みはこちら http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/402nzgz0d8ra9jewpc □□□□□□□□□□□□□□□□ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ おまけコラム 【忘れ物大賞】 ヒトノコトイエナインデスガ・・・ 私の父は、ともかく、なくしものが多い。 今日(土曜)も、朝からゴソゴソ探しもの。なんでも、北海道への航空券をな くしたとか・・・ 「おまえ、知らない?」 知ってるわけない・・・・。 「いや、大事な物だと思ったから、これは鞄の中、と思って入れたはずなんだ けど・・・(ガサゴソ)」 「家の背広のポケットは?手帳に挟んでないの?」 「もう、そんなのは、調べた!」と、手で制して怒ります。それじゃ、最初っ から聞かなきゃいいじゃん・・・。 社員のイヤマはいいます。。。「だけど、会長がなにかなくすと、憎めないん ですよね・・・あの京都弁でいわれると、反則ですよね。こないだも・・『カ ギが・・・いや、あの、あれ?』って、カワイクテ、笑っちゃいますよね」 へえええ。そすか。 私もしばしば、捜し物をしている。こちらは、多分カワイゲがないのであろう。 まあ、仕方がない。整理整頓。 結局、航空券は見つかった。母からの電話『あなた、いつもの棚にあったわよ』 『いや、そこもたしかに探したんだけど』 ま、いつものことである。こうしてアートオフィスJCの一日は過ぎていくの であった・・・。 「おまえのトコのお父さん、面倒みんの大変なんだから」これはとある画商さ ん、といいますか、グンジさんからついこないだ言われた言葉である。そのう ち、我が社の社員も、「おまえとこの社長、面倒みんの大変なんだぞ」と言わ れるのだろうか。気をつけよう・・。(でも、DNAは変更できない?) ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ************************************************************************ このメールへの返信で私に届きます。 あるいはこちら⇒chiaki-magazine@aojc.co.jp 投稿いただいたメールは、本メルマガに掲載する場合があります。掲載され るのがお困りの方はその旨お申し付けください。 ************************************************************************ 最後までお読み頂き有り難うございました。 ------------------------------------------------------------ ●●「書画・絵画鑑定マニュアル」無料提供中!残り僅か。 http://aojc.co.jp/kantei/index.cgi ★★「おんらいんぎゃらりい秋華洞」美しい展示が好評です! http://www.syukado.jp/ ☆★「秋華洞・丁稚ログ」新米美術商の赤裸々な日々 http://blog.livedoor.jp/syukado 美術品無料査定・買取致します。 http://aojc.co.jp/buy/index.html ☆☆「カタログ誌 秋華洞 秋号」無料配布中 (秋が長い。。。スミマセン、次号準備中です、本当に。言ったらやります) http://aojc.co.jp/contact/catalog.cgi ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行 有限会社アートオフィスJC  http://aojc.co.jp/ TEL 03-3569-3620 東京都中央区銀座6-4-8 曽根ビル7F 代表取締役 田中自知郎・田中千秋 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ アートオフィスJC・秋華洞のご案内 主に日本の美術品・古美術品を中心に、幅広く取り扱っております。  近代絵画・現代絵画を軸とし、さらに、鎌倉・室町時代より、現代に至る まで、あらゆる分野で活躍した画家・高僧・武将・文人・歌人・俳人の手に よる絵画・書蹟、時代屏風、絵巻、古文書、古写本、古版本、稀覯本(きこ うぼん)を専門とし、その他、彫刻、工芸品、茶道具など、多岐にわたって 対応致します。  弊社は平成15年に設立、平成16年に開店致しましたが、50年近く美術業界 で活躍した代表・田中自知郎が息子・田中千秋と共に新たに設立致しました。 (代表プロフィールは↓) 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2005年6月26日 00:23