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2005年4月24日
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Vol.45 NYその2

□■□■ 「日本美術そうだったのか通信」 Vol.45 発行 有限会社アートオフィスJC・秋華洞 http://aojc.co.jp/  アートオフィスJC http://www.syukado.jp/ おんらいんぎゃらりい秋華洞 現在発行部数2,322通(独自配信143 まぐまぐ 2,142 melma!37) ------------------------------------------------------------ <本マガジンの説明> 日本美術の鑑賞界のホットニュース、古今国内東西の作家のエピソード、美術業界 裏話など、日本美術をより楽しむための情報をお届けします。 アートオフィスJC・秋華洞提供。 ------------------------------------------------------------ みなさんお元気ですか。 初めてのかた、はじめまして。 そしていつもお読みの方、ありがとうございます。 アートオフィスJC・秋華洞の田中千秋です。 金曜日、ニューヨークから帰ってきました。 帰国してもやはり殆ど時差ぼけはありません。飛行機の中で酒を積極的にとっ て寝てしまえば案外簡単に睡眠のつじつまがあうようです。 さて、ニューヨークという都市の感想。 いやー、面白かった、と、いいますか、まだほんのちょっとしか見ていません が、できるだけほっつき歩きました。 ことに、面白い!とか、綺麗、とか、元気、あるいは、豪華、ということの絶対 値だけを価値にすれば、NYほど面白いところはないのではないでしょうか。 アメリカ的なポジティブな価値観を一番わかりやすく現実化しているのがNY、 という気がいたします。 ダウンタウンのすさんだ場所も、歩きたくなかったのだけど、ちょっと歩いて しまいました(あー怖かった)。 イタリア、中国、韓国、など、其々の民族ごとの生活感あふれるダウンタウン (新宿のガード下と歌舞伎町と、下北沢と山谷のミックス?)から、やや文化 の香りしながらも庶民的なSOHO、ビレッジ(渋谷、原宿、青山?)、そし てあくまで高級感あふれるミッドタウン(銀座?)、そして高級住宅地のアッ パーイーストとウェスト(田園調布?)、と、非常に表情の違う街がモザイク 状に並んでおりました。 摩天楼も、高級住宅街も、ダウンタウンの活気も、セントラルパークの美しさ も、「憧れ」をかきたてるのにはやはり十分なパワーを持っていることは実感 できました。 それぞれの区画のたたずまいはあまりに違うのですが、それらが整然と区分けさ れながらも隣接しております。職業にもはっきり貴賎があるように思いましたが、 ことなる階層が常に交流しています。その階層のなか「上」にいきたい、とい う意思を掻き立てやすい構造のように思いました。 ただ、奴隷制度いらいつづく「階層」を、肌の色や出身国を越えて、すなわち WASP以外でも上層にいけるのかといえば、難しく、その難しさの前で捨て 鉢な職業態度に留まっているたとえば態度の悪いタクシードライバーなども多 く、アメリカ社会の陰影を感じます。 ただ、それぞれの立場に応じた「楽しみ」は無限に用意されている気がいたし ました。野球、演劇、映画、文学、それぞれ最高水準のものがあります。 芸術に関しても最高レベルのものが集まり、ものすごい額のお金が美術品市場 を動いているようでした。 環境問題への無頓着や、露骨な貧富の差など、問題の存在は感じる一方で、肌 の色も文化も違う人間が、それぞれ勝手に、一応のルールを守りながらも、好 きなように生きている、という自由さ、そして新しいことに次々挑戦できる雰 囲気など、「参加してみたい」という魅力は感じます。 ただ、帰国途上に話したタクシードライバーは、この国が嫌い、とハッキリ言っ ていました。 私「今回の滞在で、NYがスキになってきたな(無難な発言のつもり)」 ドライバー「NYのどこが好きなんだ」 私「うーん、人に活気があって、魅力があるかな」 ド「それは白人のことか、それ以外のことか」 私「え?(虚をつかれる。思い浮かぶのは白人である。答えにくい。)ハク・ ・ジンが多いかなー」 この国の白人は、口ではリバティ(自由)を唱えるが、実際には、金のことし か考えていない。暴力的で、セックス、セックスだらけだ。 彼は言います。 この国は、表面的には奴隷制がないが、実際には、白人が、経済的・政治的に 他の民族を奴隷として使っている。そのことには疑問を持たない。 私「ところで、中国の人たちが反日デモをやっているのは知ってる?」 ド「知ってる。」 私「アメリカの人は関心持ってる?」 ド「90%以上の人は外国の事なんて感心ない。関心あるのは、海外に投資して いる、ごく一部の白人だけだ。その関心は自分の金儲けに関係のあることだけ で、日本人を本当に友達なんて思っている奴は誰もいない。本当はアメリカ人 は日本人、アジアの人なんか嫌いなんだ。だけど、お金を持っているので友達 のふりをしているだけだ。」 ド「アメリカには力(Power)がある、ヨーロッパも一つになって力がある。そ して、中国と日本もアジアの大きな力だ。アメリカやヨーロッパは歴史的に、 邪魔な国を直接攻撃するか、さもなくばお互いに戦わせて力を奪ってきた。今 回の中国と日本も実はアメリカはアジアの国同士が仲良くなっては困るからちょ うどいいんだ。だから本当は中国、日本はもし仲良くなれば、アメリカ、ヨー ロッパに対抗できる第三の勢力になれるんだから、仲良くしたほうがいいんだ。」 彼の意見も、ひとつ本質を突いているように思いました。 たしかに、アメリカの非常にゲンキンで獰猛ともいえる国民性と歴史は、手放 しに賞賛できるものではないでしょう。 それでも、NYという街には魅力があると思います。街を歩けば、超デラック スな高層ビル、落書きとゴミだらけの街角、金持ち専用のアッパータウン、横 溢する活気の民族別ダウンタウン、それらが数ブロックを隔てて混在し、人間 や人間社会の欲望と願望のありのままの姿が露出しています。 幸福な姿も、捨て鉢な態度も、すべて露出したままの社会です。日本の社会に はある、この快適なるオブラート、というものがありません。この日本社会の 快適さは好きですが、快適であることは退屈なことでもあるでしょう。このびっ くり箱のようなアメリカを「冒険」する面白さ、はなお感じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今週の新入荷情報 -------------------------------------------------------------------- ■小室翠雲『雪後天香図』 http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/40h9rqy0c8zr5p7m2l 当メールマガジンで、長く特集して取り上げました小室翠雲の作品です。 小室翠雲は、近代「南画」を代表する画家で、活躍時は、横山大観・川合玉堂 に並ぶ評価がありましたが、戦後、南画(※)というジャンルの評価が極端に 下がるのにつれて、ずいぶん値段が安くなってしまいました。 本作も、小品とはいえ、非常に高名な作家が描いて、絹本(絹地の用紙)で、 色もふんだんに使ってあって、共箱もあって、状態もいい、という事を考える と、かなりのお買い得とは思います。 ※南画とは http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/40h9sqy0c8zr5p7m2l 画賛は 「階上香入懐 庭中花照眼 ・・」 香りが漂ってきて、庭の花が眼を照らした、春が来たことを深く実感した、と いうぐらいの意味でしょうか。中国の古歌のようです。 絵は花を咲かせた梅の枝に尾が青い鳥(ハト?)が止まっており、笹か竹かの 葉が添えられております。鳥の文様の描写や青い尾の姿がビシッとシャープに 決まっており、笹葉も非常に丁寧に描かれ、いかにも翠雲らしいキリリとし た絵になっています。 絹本着色軸装 本紙46×50.7 cm  総丈144.5×65cm 落款・印・共箱(二重箱) ☆作品は弊社画廊で御覧になれます。作品はそのもの一点限りですので、購入 をご希望される方はお早めにご連絡下さい。 <弊社開廊時間>  平日 10:00-18:00  土曜 10:00-18:00 (ただし土曜日は都合により閉める場合がありますので、事前にご連絡を。) TEL 03-3569-3620 or 03-3569-3990 東京都中央区銀座6-4-8 曽根ビル7F 弊社案内図 http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/40h9tqy0c8zr5p7m2l ※平日にお越しの方には、当店自慢の美人秘書がお茶をお入れします! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 土曜スタッフ募集 土曜日のみの事務をしてみませんか。 土日お休みのOLの方などで、きちんと責任を持って勤めて頂ける方を、募 集致します。ワード、エクセル、HTMLの知識必須。オンラインショップ と美術商の世界に興味がある方。ただし本気でやる気のある方のみ。 担当:田中千秋 03-3569-3620 info@aojc.co.jp ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ さて、今週も日本美術をはなれまして、ニューヨーク美術事情の一端をお届け 致します。 ■ニューヨーク美術情報その1 MOMA(The Museum of Modern Art) ニューヨーク近代美術館 http://www.moma.org/ 東京で言えば、東京近代美術館。コンテンポラリーアート(現代美術)を中心 に、ほぼ20世紀の作品(と19世紀末)を集めた美術館です。 実は、大改装が終わったばかりの新装館がニューヨークの中心部に開いたばか りで、話題の美術館ではあります。 その設計が鳴り物入りのスタートでしたので、どんなにか派手な外観と内装か と思いましたが、案外に控えめな印象を持ちました。吹き抜けから別の階の作 品の一部が見えるように其れぞれの階の一部に窓がうがってある事で、各階の 展開が予測できるようになっていますが、ことさらに奇抜な印象ではなく、む しろ快適に巡回できるような開放性を感じさせる機能的に優れた建築という印 象を持ちました。 前回のメトロポリタンでもそうでしたが、やはりここでも「順路」なるものは なく(アメリカの美術館はすべてこうなのでしょうか?)、好きなように見て いけるようになっています。2Fが最新の現代美術で、上の階にいくにつれて、 古い時代に遡る構造になっています。 私は下の階から律儀に順番に見ていったのですが、下から見ていって良かった と思っています。現代美術、いわゆるコンテンポラリーアートは、「え、なん でこれが芸術なの?」というような奇抜な物ばかりですから、十分にエネルギー を蓄えた、鑑賞の前半戦でないと、はっきり言って見る気がしない、と思いま した。 この美術館の特長は、コンテンポラリー(古今のオブジェ、リキテンシュタイ ンやウォーホルなどの現代絵画など)、から、近代絵画(ピカソ、セザンヌ、 クリムト、ゴッホほか)、工業デザイン(自動車、椅子、空港の発着便案内、 ポットなど)、映画(イーストウッド、コッポラ)、建築まで、「近代」と呼 ばれる時代の「美術」から「美術周辺」まで、どん欲に取り込み、分類し、展 示、解説を試みていることでしょう。 はっきりいって、私は、コンテンポラリーについては、なんじゃこれ、わけわ からん、いい加減にしろ、と思うものが少なくないのですが、コンテンポラリー の総本山ともいえるニューヨークで、こうしてあらゆる芸術について生真面目 律儀に、人々に見せ、解説してくれているところがある、と思うと、なんとな く「安心」できます。 ■ニューヨーク美術情報その2 ダミアンハースト Damien Hirst チェルシーと呼ばれるコンテンポラリーの画廊地区、をうろついてきました。 日本でもこれを真似たような地区が、八丁堀のあたりに少しありますが、この チェルシーは、だだっ広くて無愛想な「倉庫街」をそのまま、「画廊」に仕立 て上げた一大美術地帯で、申し合わせたようにわかりにくい画廊名の表示と思 いドアを押して入るギャラリーがずらり、と並んでいます。 で、今もっとも話題のアーチスト(と聞きました)、ダミアン・ハーストの個 展を見ました。実は、アメリカの良心、ボストン美術館でも何故か彼の個展を やっておりましたので、これも併せて報告しますと。 悪趣味。 ビョーキ。 これにつきる人だと思いますが(断定)、だけどやはり気になる。気になるか ら、やっぱり見に行きたくなる。そういう作家だという気がします。 例えば。 今、ボストン美術館に行くと、壁に干しぶどうのような黒い小さなものが一面 に盛り上がって貼り付けてある、人の背丈の倍ほどのタテヨコの正方形があり ます。 まず、題名を見ないで近づいて下さい。そして、鼻先を近づけてヨーク見ると、 それがとある生き物で構成されていることがわかります。何か、は見てのお楽 しみ。私はその後の食事がとってもおいしく感じました。思い出したくない。。。 そのほか、羊をまるごと水槽に「お漬け物」にした作品、蝶々の羽根を大量に 貼り付けて曼荼羅状の巨大な図像を構成した作品、ガラスケースに入った蝶々 研究者(の人形)の研究室ごとの標本(?)、などがボストンには展示されて おりました。そのほか、人間の半身を解剖したような彫刻などが有名です。 絵画作品に関しては、錠剤、交通事故の現場、手術室、注射、標本など、病 院まわりの「痛い」と感じさせる絵がモチーフの絵を描いています。 すなわち、「死」ないし「死体」そして「死への執着」の周辺で、「タブー」 に対して挑戦するアート、というコンセプトで、賞賛と軽蔑の双方を受け、話 題を巻き起こす人のようです。 この人の作品の評価は極めて高く、100万ドル(一億円)以上するものも珍しく ないようです。 「タブー」の周辺の思想を巧く美術館と画廊での商品化に結びつけることので きる、希有な才能を持つ人でしょう。こういう作品が高く売れるアメリカとい う国もそうとうの病気だと思いますが。 ■ボストン美術情報 ボストン美術館 Museum of Fine Arts,Boston http://www.mfa.org/ この美術館は極めて広く世界から美術を集めているという点では屈指のコレク ションを誇っています。 古代エジプト、ギリシャ、中国、日本、中央アジア、ペルシャ、アフリカ、イ ンド、南米、古代北米、そして近世・近代・現代のアメリカ。それらがかなり 高度に専門的に分類展示されているという点では、凄いところです。 日本美術に関しては、日本近代美術の父である岡倉天心が肝いりで作っただ けあって、刀剣、仏像、近世の絵画作品まで、非常に豊富な所蔵品と深い知識 を伺わせる展示で、天心の魂はまだここにあり、と思わせる内容に私は感動し てしまいました。 ただ、天心が指導した、日本の近代以降の美術が全く触れられていない点は残 念ではありました。 ・・・本メルマガとしては長くなりすぎるのでこのあたりで止めておきまして、 もしご興味のある方は、ブログにも http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/40h9wqy0c8zr5p7m2l 書く予定ですので、ご参照下さい。 どの美術館を見ても思うのですが、この国では、美術館というものが、野球や 映画に近いぐらいに、「お楽しみ」として定着しているように感じました。老 若男女が、わりあい気軽に、面白がって来ている。 そして、マクドナルドが子供をターゲットにして、生涯ビックマックの虜にし ようともくろむように、美術館では、子供が楽しく美術にふれる教室が頻繁に 行われ、その様子を一般の観客が自然に眺めるように仕組まれています。 子供や大人の「遊び場」として、もっと身近になる工夫、を日本の美術シーン も工夫できない物かしら、と感じるのでありました。 ************************************************************************ このメールへの返信で私に届きます。 あるいはこちら⇒chiaki-magazine@aojc.co.jp 投稿いただいたメールは、本メルマガに掲載する場合があります。(勿論事 前にご承諾を得てからの掲載になります。) ************************************************************************ 最後までお読み頂き有り難うございました。 ------------------------------------------------------------ ★★「おんらいんぎゃらりい秋華洞」美しい展示が好評です! 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2005年4月24日 20:30