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2005年2月13日
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Vol.36 妻よ、違うのだ★翠雲その3

□■□■ 「日本美術そうだったのか通信」 Vol.36 発行 有限会社アートオフィスJC・秋華洞 http://aojc.co.jp/  アートオフィスJC http://www.syukado.jp/ おんらいんぎゃらりい秋華洞 ------------------------------------------------------------ <本マガジンの説明> 日本美術の鑑賞界のホットニュース、古今国内東西の作家のエピソード、美術業界 裏話など、日本美術をより楽しむための情報をお届けします。 アートオフィスJC・秋華洞提供。 ------------------------------------------------------------ いつもお読み頂いて有り難うございます。 アートオフィスJC 田中千秋です。 ああ、指がつる。。。 近頃、なぜか右手の親指が、ときどき、つります。 特にパソコンのマウスを操作するときに、イヤーな感じで、浮かせた指がつる ことがあります。一度お医者に典型的なパソコン病の一種、と言われたことも ありますが、どうやったら直るのでしょうね。 昨日、銀座の「てもみん」でマッサージしてもらいましたが、簡単には、直り そうにありません。。。同じ経験のある方、いらっしゃいませんか? ☆☆★☆☆★☆ 「妻よ、違うのだ」 ウチの奥さんは天然素朴なシソウの持ち主で、ときどき、議論になります。 先日、議論になったのは、「何で、無名の作家だから、(または)贋作だから といって、同じような絵が、安いのだ。」という疑問です。 要するに、有名作家の作品は、高い。 そして、もし仮に、全く同じ筆致の作品で、名称不詳であれば、それはずっと 安くなる、あるいは、別人が似せて書いたものであれば、まるで値段などつか ない、というのは、オカシイではないかと。 これは、以前「真贋について」でも述べたことですが、実は、本質的な議論が 含まれる問題なので、ウッと答えに詰まりました。 参考:真贋についてその1?3 その1 http://backnumber.cbz.jp/mmz/backnumber/h4vn/2004090618_2534027105318424.txt その2 http://backnumber.cbz.jp/mmz/backnumber/h4vn/2004091611_2533028098387058.txt その3 http://backnumber.cbz.jp/mmz/backnumber/h4vn/2004092117_2582028604326152.txt 「そりゃー、おまえ、お客さんは、その人の描いたもんがほしいんで、別の人 が描いちゃーだめだろー、そんなもの売ってみろ、僕ら信用ゼロになるじゃな いか。」 「だけど、全く同じように描けてたらいいじゃない。値段が違うなんておかし い。」 「おかしいって言ったって、そういうもんだろ、そりゃふつう。」 「有名だから高いっていうのは、絶対オカシイ」 「いやだからさ、それはその。。。」 * * * *** * * * *** ウチの奥さんは、シンプルな画風の絵に関して、「こんなの私でも描ける」と のたまう乱暴な人なので、ほんじゃあんたが描けるという「クマガイモリカズ」 とか「カヅキヤスオ」も、あんたがかいても数百万で売れるんかい!と突っ込 みたくなるところであります。 ・・・否(いな)、違うのである、妻よ。 人はその人の物語を含めて作品を買うのである。 人が「香月泰男」の、例えば黄色地に黒い太陽の絵を買い求めるのは、その象 徴的な絵の力もさることながら、シベリアの大地でと塗炭の苦しみを舐めた後、 焦がれに焦がれた故郷でその思いを書き付けた、その人生、幸福観、あるいは 歴史が個人に残した刻印の重さに思いをはせて買うのである。 人が「熊谷守一」を買うのは名誉にもお金にも恬淡とし、自宅の庭を自身の宇 宙としたその境地にある種の憧れを持って買うのである。 そして、その絵はその絵だけで成り立つのでなく、その人の遺した作品や生き 方の軌跡のなかで浮かび上がる一作品なのである。 あなたが例え「クマガイ」風の絵を描いたって、そりゃやっぱり売れないので ある。(それ以前に描けないだろうが) ------- その後、「たとえば有名人のサイン、あるだろう?たとえばイチローのサイン を、僕がそっくりに書いたとしてった、人がほしがると思う?値段を付けてい いと思う?人はイチローの書いたものがほしいのだよ」と説明したら、一応納 得してもらいましたが。。。 もちろん、その絵の力だけで、成り立つ絵、というものもあります。当然のこ とです。しかし少なくとも、数百万、数千万、する絵には、必ずそこに反映す る作者の生き方の軌跡=物語があると思います。 最近は、率直に言って、似非カヅキとか、似非ヒガシヤマ、とでも呼びたくな るような作品も見かけますが、まさに似て非なるもの。 本当は、その線を選ぶ理由、その筆致を選ぶ理由、の厳しさ、あるいはその作 者なりの気迫のようなものがこもっていない限り、感動はないのではないか。 と、思います。 「感動」に、あるいは、「物語」に、値段は本来つけられないものかも知れま せんが、そこに値段をつけてしまうのが市場、あるいは社会というものでしょ う。そしてその物語を伝え、保証するのが、私たち美術商の仕事、なのだと思 います。 妻よ、わかってくれたかしら? 参考リンク 熊谷守一美術館 http://www.kumagaimori.jp/ 香月美術館 http://ww5.tiki.ne.jp/~misumici/kazuki/ ------------------------------------------------------(商品のご紹介) 後藤純男「新雪上ル大和」 http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/jpn/A040250.html 後藤先生は、院展の代表作家の一人ですが、近頃は、古都の春夏秋冬の風景を 端正に描いて、たいへん人気のある方です。 近年の作品は、たいていワンポイントで(おそらく)金泥が、画面の所々に配 されていて、キリッとした画面は、部屋を華やかに飾りつつ引き締めて、和風 の居間に飾るのにピッタリ来ます。 ・後藤純男『新雪上ル大和』 日本画・紙本着色・ 額装 4号F 本紙 24x32 cm 総丈 47x55 cm 落款・印・共シール 参考リンク「後藤純男美術館」 http://www.gotosumiomuseum.com/index.htm ------------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------------ さて、今日の本題。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「熱血!小室翠雲」その3 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 南画家、小室翠雲とは、どんな人物なのか。 その3です。 小室翠雲、どんな絵を描いているのか。 それと、南画ってなんが?もとい、なんだ? あらためて、ちょっと紹介したいと思います。 ・まず、翠雲の作品。 最初に、私どもで展示している作品。(二点) http://www.syukado.jp/jp/search/item/artist/jp_b/KOMURO_SUIUN.html 次に、見つけました。名品です。長興落款(中年以降は箱根の画室のこの号を 用いました)の傑作といえるではないでしょうか。東京国立近代美術館所蔵。 http://www.momat.go.jp/search/records.php?sakka=AKO036 ・次に南画とは? 南画、というのは、辞典的に説明すると、面倒くさくなりそうですので、私流 に、めちゃくちゃにはしょって言います。 元祖ヘタウマ。 もともとは、中国の南宋時代の、仙人的生活を送っていた当時の学者、「文人」 が、余技としてはじめたもので、従ってプロの絵描きのものではなく、多くの 場合、「山水」や「人物」と画賛(詩)が併記され、詩画一体として表現され た、越俗の境地が表わされたもの、と言っていいと思います。 だから、ある意味、下手でいいのです。巧すぎては、雅味が失われるというも の、かもしれません。 南画(文人画)はやがて日本に伝わり、江戸時代、ひとつの潮流をなします。 江戸中期、有名な与謝蕪村、池大雅で、日本的「南画」の頂点を迎えます。 しかし、明治維新を迎えて南画は衰退の時期に入ります。 1.「日本美術の恩人」フェノロサによって、南画は忌み嫌われ、日本美術の 傍流に追いやられてしまった。 2.フェノロサに嫌われてしまうほど、南画が形骸化していたこと。 この二つが理由ではないかと思います。 さて、そうした衰退期に、よりにもよって翠雲はわざわざ「南画」の道に入り ます。多分、これは翠雲が意識的に選んだ事ではなくて、翠雲が最初で最後に ついた師である足利の田崎草雲が、南画家であった、ということによることで しょう。 翠雲にとって、草雲は、非常に大きな人でした。15歳から24歳まで、群馬 県の館林から栃木県の足利まで、15キロの道のりを毎日徒歩で通ったらしい のですが、幕末の闘士でもある師・草雲の、常人から超越した面持ちは、後に 東京に出た翠雲が、どの先生にも満足せず、結局、草雲の没後、いちども師に つかなかった程、深く心に残ったようです。 明治31年、9月1日、草雲は死にました。その際に、師は翠雲を枕元に呼び 寄せます。 翠雲、翠雲。 貴様は、今後色々の変遷があるかも知れぬが、南画の精神だけは忘れるな。 ・・・一年の喪をすました後、翠雲は上京します。明治32年、25歳の時で した。 (なお、特に断りのない限り、年齢は満年齢を使いました。) ☆★★☆★ ミニミニニュース 新入荷は続々届いておりますが、HP秋華洞にアップするいとまがとれません。。。 来週は新しい社員が登場する予定ですので、より濃く早く皆様に情報をお届け できればと思います。 ちなみにこの間、私どもに入りましたのは、川合玉堂の横長の名品、なんと坂 本繁二郎の作品(画集掲載作)、などです。乞うご期待。。。 「鑑定マニュアル」は色々事情がありまして、やや滞っておりますが、なんと かまもなく、発行したいと思っています。ただ原稿の量が案外増えたので、出 版費用が馬鹿にならない。。。無料配布は予約分で打ち切って、有料に切り替 えようかしら。。。 本日は、最後までお読み頂いて有り難うございました。 また来週!    ************************************************************************ ご感想、お待ちしています。また、私の誤解・曲解・凡ミスなどの間違いの ご指摘、ご異見、も是非お寄せ下さい。(応援も頂けると、嬉しいです。) このメールへの返信で私に届きます。 あるいはこちら⇒chiaki-magazine@aojc.co.jp 投稿いただいたメールは、本メルマガに掲載する場合があります。(勿論事 前にご承諾を得てからの掲載になります。) ************************************************************************ ------------------------------------------------------------ ★★「おんらいんぎゃらりい秋華洞」オープンしました! http://www.syukado.jp/ ☆★「秋華洞・丁稚ログ」新米美術商の赤裸々な日々 http://blog.livedoor.jp/syukado 美術品無料査定・買取致します。 http://aojc.co.jp/buy/index.html ☆☆「カタログ誌 秋華洞 秋号」無料配布中 http://aojc.co.jp/contact/catalog.cgi 「書画・絵画鑑定マニュアル」ご請求はこちら(あともう少し、1ヶ月くら いでしょうか。) http://aojc.co.jp/kantei/index.cgi ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行 有限会社アートオフィスJC  http://aojc.co.jp/ TEL 03-3569-3620 東京都中央区銀座6-4-8 曽根ビル7F 代表取締役 田中自知郎・田中千秋 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ アートオフィスJC・秋華洞のご案内 主に日本の美術品・古美術品を中心に、幅広く取り扱っております。  近代絵画・現代絵画を軸とし、さらに、鎌倉・室町時代より、現代に至る まで、あらゆる分野で活躍した画家・高僧・武将・文人・歌人・俳人の手に よる絵画・書蹟、時代屏風、絵巻、古文書、古写本、古版本、稀覯本(きこ うぼん)を専門とし、その他、彫刻、工芸品、茶道具など、多岐にわたって 対応致します。  弊社は平成15年に設立、平成16年に開店致しましたが、50年近く美術業界 で活躍した代表・田中自知郎が息子・田中千秋と共に新たに設立致しました。 (代表プロフィールは↓) http://aojc.co.jp/corp/profile/index.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎ご意見、お問い合わせは、→ info@aojc.co.jp (このメールへご返信下さい!) ◎バックナンバーはこちら → http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000138331 ◎独自配信システムでのマガジン登録、変更、解除→ http://www.syukado.jp/jp/mailmag/ ※本メールマガジン独自配信分はコンビーズメールの配信システムを利用し ています。独自配信分をご利用の方には、入荷速報などをお届けする予定で す。 http://www.combzmail.jp/ コンビーズメール まぐまぐでの登録・解除→http://www.mag2.com/m/0000138331.htm melmaでの登録・解除→http://www.melma.com/mag/70/m00124770/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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2005年2月13日 11:41